ryuchellさんの訃報、週刊誌デスクが「情報番組の報じ方」に苦言呈するワケ
自死が伝えられているタレント・ryuchellさんに関する報道をめぐって、一部テレビ番組がマスコミ内から批判を集めているという。
今回の訃報について、ネットニュースを中心に、ryuchellさんが亡くなる直前の様子や周囲の反応など、さまざまな報道がなされているが、近頃はあまり芸能ニュースを扱わなくなった情報番組も同様に、現場となった所属事務所や近隣住民への取材を積極的に行っているとのこと。しかし、ある週刊誌デスクは「テレビは、自分たちが取材したことでさえ、他社に責任を押し付けるような形で報道している」と苦言を呈する。
テレビの情報番組が批判されているのは、ryuchellさんに関する放送内容の大部分を他媒体の「記事紹介」、つまり「引用」の体で報じていることだという。
「この数日、編集部にテレビ局のスタッフから『この記事を番組で使用させてほしい』といった連絡が相次いでいます。引用する部分が、うちの独自情報であるならまだわかるのですが、各局とも取材しているはずの事務所周辺の情報や、ryuchellさんの亡くなる直前のSNS投稿といった一般人でもわかるような話を、引用という形で使用したいと打診してくるんです」(前出・週刊誌デスク)
WHOの「自殺報道ガイドライン」に抵触しかねない情報は「引用」する?
情報番組では確かに、「『週刊○○』によると」「『スポーツ○○』がこう報じている」といった言い回しで、他媒体の記事を紹介する場面は多い。
「これはつまり、ryuchellさんの訃報を番組で取り上げる“リスク”を、他メディアに押し付けたいという思惑があっての措置なのでしょう。WHOの『自殺報道ガイドライン』には、『自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと』『センセーショナルな見出しを使わないこと』といった項目がありますが、こうしたものに抵触しかねない情報は、他社の“引用”という形をとり、もし視聴者から苦情が殺到した場合、“そちらの会社の責任”ということにしたいのでは」(同)
同ガイドラインには「報道を過度に繰り返さないこと」という項目もある。7月12日には厚生労働省が自死を誘発する可能性があるとして、報道を控えるように注意喚起も行った。
そんな中、テレビ局がそこまでリスクを回避したいのであれば、あえて番組内で“ryuchellさんの自死については一切取り上げない”という選択肢もあるはずだが、今後も引用を主体とした放送は続いていくのだろうか。