インタビュー

りゅうちぇるは「夫婦間の育児分担問題」の活路となる? ぺことの子育てが社会に与える影響

2018/08/19 16:00

pekoandryucheru

 独自のファッションとライフスタイルが注目を集め、若者から絶大な人気を集めているぺこ&りゅうちぇる。原宿の若者を中心に支持されるカリスマ読者モデルのぺこと、メイクを施し、レディースのファッションを着こなす“ジェンダーレス男子”として人気を集めるりゅうちぇるは、2016年12月に結婚を発表。18年7月には待望の第一子である、リンクくんを出産した。

 22歳と若く、ジェンダーレス男子であるりゅうちぇるが、どのような育児をするのか世間の注目を集める中、りゅうちぇるは妊娠発表後から、こまめに SNSで近況を発信。妊娠中からぺこの食事のサポートをし、父親学級にも参加、産後は仕事の合間をぬって沐浴のために帰宅をするなど、父親として奮闘する様子には「いいね!」が殺到している。

 また、「約12時間の陣痛を 頑張ってくれたぺこりん 心から愛してるよ あなたは僕の大切な人 そして誇りだよ」「大変なときでも明るくリンクに愛を育んでくれてありがとう」という、ぺこへのストレートな愛情表現には、世の母親たちや若者を中心に称賛の声が飛び交い、「りゅうちぇるは理想の夫でありパパ」と評する向きも強い。

 夫婦間の育児分担問題が注目を集め、「母親ばかりに育児の負担がかかっている」「父親も一緒に育児を」といった議論が巻き起こっている今、若くして親になり、子育てに邁進している子育てをしているぺこ&りゅうちぇるは、今後社会にどのような影響を与えていく可能性があるのか――『ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常』(毎日新聞出版)の著者である明治大学教授の藤田結子氏に話を聞いた。


――ぺこ&りゅうちぇる夫婦の子育てを、どのように感じていますか。

藤田結子氏(以下、藤田) 純粋にとても素晴らしいなと思います。調査や講演に行き、子育て真っ最中の母親たちとお話する機会があるのですが、「夫は仕事が忙しくて、平日は私が1人で家事や育児をしている」というお母さんがとても多いんです。そんな中、仕事の合間に帰宅して沐浴をしたり、食事の準備や洗濯をするりゅうちぇるは、かなり頼りになる夫・父親ではないでしょうか。

――りゅうちぇるは「両親学級」に行ったり、「立会い出産」をするなど、かなり積極的に育児をしているようです。

藤田 「両親学級」や「立会い出産」は、いわゆる“イベント”ですよね。言ってしまえば一瞬で終わるものでもあります。イベントに参加して、父親としての役割を果たしたと満足するだけでなく、その後も継続的に育児をしていることの方が素晴らしいと思います。実際に、「両親学級」に参加したり、「立会い出産」をする男性は増えているようですが、ただイベントに参加するだけでは、母親の負担は減りませんからね。

――確かに、何事も継続こそが難しいですよね。ぺこ&りゅうちぇるは、実際に「リンクくんのSNSへの顔出しをどうするか」「保育園をどうする」かなど、日常で出た問題は都度、2人で話し合いながら子育てをしているそうです。


藤田 夫婦で育児をする際に問題になりがちなのは「育児のマネジメント権を妻だけが握っている」というところにあります。父親が仕事で家にいないので仕方がないことなのですが、「どんな方針で育児をするか」「いつ・なにをどのようにするか」など妻が主導していて、妻のマネジメントだけで進めていくパターンが多く、実際に父親が育児責任を持つのが難しいんです。

 ぺこ&りゅうちぇるを見ていると、育児のマネジメント権はぺこもりゅうちぇるも両方がしっかり持っているのではにでしょうか。2人で話し合いをし、自分ができることをそれぞれが考えてやっているところも理想的だと思いますね。

ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常