大女優の息子がグラビアアイドルを借金のカタに! 闇金事務員が見た地獄の“入り口”
「融資希望額を満たすには、ある程度強い連帯保証人さんをご用意いただかないといけません。不動産持ちが条件になりますけど、お心当たりはありますでしょうか?」
「ウチのタレントで、いいとこのお嬢ちゃんがいるから、ちょっと頼んでみますよ」
翌日、グラビアアイドルとして売り出し中の女性が、保証人候補に上がりました。その方の名前と生年月日を打ち込んで信用情報を取得すると、すでに数件の信用照会が入っています。所有しているとされた自宅不動産は都内の一等地にある商業ビル一棟ですが、家族との共有名義で、本人の持ち分は4分の1しかありません。揃った書類をまとめて佐藤さんに渡すと、その結果を稟議書にまとめて社長の決裁を仰ぎます。
「乙区(不動産謄本の所有権以外の権利を示すページ)がサラ(不動産担保による借り入れなどがないこと)でも、この女だけでは出せないな。名義人全員の書類が入ったら、満額出してやるって伝えとけ」
社長室から出てきた佐藤さんは、すぐ佐々木さんに電話をかけて、その結果を早速に伝えました。
「100万でもいいから、この女で出してくれないかと、佐々木が言ってきています。いかがしましょう?」
「こいつ、すぐ飛ぶぞ。佐々木も(連帯保証人に)入れて100万。それでいいなら、やってやれ」
ギャル文字で書かれた連帯保証契約
契約当日の朝一番、待ちきれないといった様子の佐々木さんが、田中社長と露出度の高いブルーのワンピースを着たスタイルの良い女性を連れて来社されました。どことなく小池栄子さんに似ている気の強そうな女性です。事務所に入ってこられた途端、甘く淫靡な香水の香りが事務所内に充満すると、男性社員の視線が小さな顔の下にある大きな乳房に集まりました。
人目を気にすることなく、いちゃいちゃと腕を組んで来社されたところを見れば、田中社長の恋人なのでしょうか。何を言うにも、甘え口調で話す女性の振る舞いに軽薄さを感じます。
「失礼いたします。いらっしゃいませ……」
応接室にコーヒーをお持ちすると、あろうことか憧れの佐藤さんまでデレデレと上気した顔で接客されており、この女性のことがますます嫌いになりました。でも、さすがは芸能人。その美しさは目を見張るほどで、周囲の男が骨抜きになってしまうのも無理のないことと思い直します。
(あの人、子どもみたいな字を書くのね……)
契約終了後、債権書類をファイルに閉じていると、連帯保証人欄にある彼女の署名が目に入りました。住所氏名共に、いまでいうギャル文字で書かれており、きちんと契約内容を理解されていないであろうことが伝わってきます。2カ月後、その予感は、図らずも的中することとなりました。