令和のヤクザはより悪い形に進化する? 「家出少女が売春の餌食にされる」と元極妻が予言
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
服役している組員への差し入れや出所祝いは禁止
6月も終わりに近づいてきたところで、なぜか「ヤクザの賞揚禁止」のニュースが目立ちましたね。抗争で走った(功績を上げた)ことで服役している組員さんに対し、刑務所への差し入れや出所祝いをするな、ということです。
前からやめるよう命令したり、逮捕したりすることはあったんですよ。例えば2010年には、当時の六代目山口組のナンバー3だった入江禎総本部長が「慰労目的で組員に金品を与えていた」として逮捕されてます。しかもトップの司忍組長は収監中、高山清司若頭が逮捕されたばかりのタイミングでしたから、まあ警察による「脅し」ですね。
この賞揚の規制は、08年に改正された暴対法(第30条の5)に盛り込まれています。対立抗争で事件を起こした組員を対象に、慰労金や出所祝い金など金品の授受は禁止するということです。罰則は「3年以下の懲役または250万円以下の罰金」(同第47条)で、刑は軽いですし、ヤクザにとって逮捕は仕事みたいなもんですが、報道が続くと「なんかウラにあるのかな?」と思ってしまいます。
そもそも賞揚がなければ、組のために懲役なんかまず行きません。賞揚を厳しく取り締まったら、抗争で走る組員がいなくなるので、組織の存続も危ぶまれることになります。その結果として抗争が減れば、市民が巻き添えになることもありませんから、警察の狙いはそこかもですね。
昭和の暴力団は北欧みたいな「高負担・高福祉」スタイル
昭和の頃は、どこの組織もヒットマンになった組員には、裁判費用や刑務所への差し入れ、家族の生活費、出所した時のお祝い金や組織での昇進とかをキッチリやってました。
大きな組織になると、家を買ってあげるのも普通で、そのために会費(いわゆる上納金)を高くしてる組も昔はありました。プールしておいて、みんなの賞揚のために使うんですね。今はそんなに会費も高くできないと思いますが、北欧みたいな「高負担・高福祉」スタイル(笑)。
たいていの組員は、貧困や差別、家庭環境の問題でヤクザになりますから、家族との安定した生活は憧れです。抗争でカラダを張り、組織で地位とお金を保証されて、家庭を築くのはヤクザの出世の王道だったのです。
セコい親分は暴対法の規制を理由に差し入れをしなくなったという説もありましたが、そんなに多くはないと思います。このご時世ですから、金額は減ってるでしょうが、本人がダメなら家族に渡せばいいだけですし、放免(出所)祝いもやってるところはあります。
でも禁止命令や逮捕の報道が続くと、どうでしょうか? 「賞揚はアカン」というムードが世間的にできてしまうかもしれません。微罪とはいえ、タイトに取り締まられると結構きついですよ。トップが逮捕されて「最長で社会に3年不在」となったら、組織は慎重にならざるを得ません。
抗争で相手のシマを取り上げて勢力を拡大するのは昭和の話ですが、功労者を慰労できなければ組織としての存在意義がないですよね。それより金融機関の口座も作れず、クルマも買えない人間の集まりで組織を運営するって、もうムリでしょう。