中学受験生の親を悩ませる“学校選び”――「大学付属校」で恥ずかしがり屋の娘が伸びたワケ
由芽さんは高校時代に大学の講義で経営学を学ぶ機会に恵まれ、将来の夢が決まったという。
「進路選択をしなければならない時に、由芽が言ったんです。『20代で起業を考えている。そのために大学では経営学を学びたい』って。そこまでは良かったんですが、なんと進路希望はアメリカの大学だったので、驚きました」
実は、由芽さんが通った中高一貫校は、海外ターム留学制度も充実。由芽さんもその制度を使って、高校時代に3カ月間のアメリカ留学をしている。
「学校生活を謳歌していたので、受験勉強はせずにこのまますんなり系列大学へ行くんだろうなと思っていただけに、由芽の発言にびっくりしました。でも同時に頼もしくもありましたね。私の時代には考えられないことでしたから」
由芽さんの学校は大学付属校ではあるものの、実績は少ないながら、海外大学進学を積極的に後押ししている学校だ。先生方も由芽さんの合格を応援するために、大学に提出するエッセイの添削に始まり、推薦状の作成など、実に細やかに面倒を見てくださったという。
結果として、由芽さんは見事、志望校に合格。異国での大学生活を謳歌している最中だそうだ。
「これから由芽がどういう道に進むのかはわかりません。けれども、自分で自分の道を拓いていける子になったという実感はあります。この性格の変化は、やはり置かれた環境の影響が強かったのだと思います。伸び伸びとした大学付属校ならではの校風、穏やかな学友、生徒を決して否定しない先生方など、由芽にとって、本当に合っていた学校だったんだなと、この出会いに感謝しかないです」
人は環境に左右される生き物。「置かれた場所で咲きなさい」というのは、ノートルダム清心学園理事長だった故・シスター渡辺和子氏の有名な言葉だが、筆者は中学受験を目指すご家庭に対し、「置かれた場所で咲くのは本人。しかし、我が子を花が咲きやすい場所に置くのは親」と思っている。
由芽さんがどんな起業家になるのか、今から楽しみだ。