中田敦彦は、なぜ粗品を味方と勘違いしたのか? 彼が「愛される悪役」になるために足りないもの
私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。
<今回の有名人>
「一応、社交辞令で『見てます』って言ったよ」霜降り明星・粗品
『霜降り明星のオールナイトニッポン』(6月2日、ニッポン放送)
オリエンタルラジオ・中田敦彦が自身のYouTubeチャンネルで、ダウンタウン・松本人志に対して、『M-1グランプリ』など、大きなお笑い賞レースの「審査員ちょっと何個かやめてくれないですかね?」と“提言”してから十日あまり。予想通り、中田は多くの芸人から叩かれた。中田がなぜ急に松本批判を始めたかはわからないが、芸能人としては、自分のしたことが世間サマにスルーされるより、騒がれるほうがいいだろう。中田砲第1弾は、成功したといえるのではないか。
今回の件で、すっかり「悪役」が確定した感のある中田。しかし、悪役というのは独特の魅力があるものだし、かつて悪役レスラーだった北斗晶は『5時に夢中!』(TOKYO MX)において、「悪役がちょっといいことをすると、本当はすごくいい人なんだと思われるからトク」と、そのメリット を明かしていたことがある。悪い部分を強調するほど、いい人の部分が光るという意味でも、やはり悪役はおいしいのだろう。
粗品、中田敦彦への「YouTube見てます」発言は「社交辞令」と断言
しかし中田は、悪役になるには、ちょっと足りないものがある気がする。
松本批判の動画の後半、中田は「これ見てる粗品くん、どう思う?」と霜降り明星・粗品を名指しし、「最近ね、俺のトークチャンネルをすごく見てくれてるらしいんですよ。粗品くんが。すごくうれしくて。粗品くんなんて全部獲ってるでしょ。『M-1』も獲ってさ、で、『R-1』も獲ってます? でねぇ大喜利だって強いんだし」「まぁ、言えないよね。吉本から数千万借りてるから言えないでしょ」「だから、粗品くん、俺代わりに言うわ。松本さん、審査員やりすぎですよって」「ごめん、俺の意見だわ(笑)。粗品くんは関係ない。とばっちりでした」とオチをつけた。
中田はおそらく、粗品は吉本興業系列の金融会社・よしもとファイナンスから借金をしている事情から、同社トップタレントの松本への批判を公言できないが、本当は自分の味方なんだぞと訴えたかったのだろう。
が、6月2日放送の『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)によると、真相はちょっと違うようだ。粗品は「それは言ったで、中田さんに。初めて会った時に『YouTube見てます』って。一応、社交辞令で『見てます」って言ったよ」と、よくある初対面のあいさつとして「見てます」と言ったまでで、中田を芸人として面白いと思いつつも、ほかの芸人を敵に回しても応援するほどの思い入れがある先輩ではないことを明かしていた。