サイゾーウーマンコラム神林広恵「女性週刊誌ぶった斬り」ジャニー氏は無視する女性週刊誌の二枚舌 コラム “噂の女”神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第653回】 市川猿之助のハラスメントは追及して、ジャニー氏の性加害には口をつぐむ女性週刊誌の二枚舌 2023/06/06 21:00 神林広恵(ライター) 女性週刊誌ぶった斬り! 「女性セブン」6月15日号(小学館)(C)サイゾーウーマン 下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る! 与党自民党も性加害の加担者だった!? ジャニー喜多川氏から性被害を受けたカウアン・オカモトさんや橋田康氏が性加害に対する法整備を求めて与野党の各党に訴える行動に。しかし立憲民主党や共産党は意欲的だが、自民党は消極的だ。しかも、その理由が「野党主導の議論には乗りづらい」だって。最悪だ。 第653回(6/1〜6/6発売号より) 1位「独走第3弾 市川猿之助 陰湿セクハラ『見て見ぬフリ』の醜悪」(「女性セブン」6月15日号) 2位「鈴木京香 孤独の闘病でついに! 長谷川博巳『同棲決意』白昼の献身」(「女性セブン」6月15日号) 同「鈴木京香 “同棲恋人”が深刻顔で向かった先」(「週刊女性」6月20日号) 3位「香川照之 トホホ『團子が格上!』」(「女性自身」6月20日号) 市川猿之助のセクハラ・パワハラをスクープした「女性セブン」。当然、この問題に関しては確かに“独走”であり先鋭的だ。今週も第3弾と銘打ち、猿之助のセクハラ・パワハラを鋭く追及している。 まず猿之助の代役を務めた中村隼人が「われわれはずっと『味方』でいようと思っています」と語ったことについて、猿之助の濃厚セクハラの実態を語った歌舞伎関係者からの、こんなコメントを紹介する。 「隼人さんは誰の“味方”なのでしょう。 『女性セブン』が2週間前に報じた猿之助さんのセクハラ・パワハラは、歌舞伎界では以前から少なからず知られていたことで、猿之助さんに近い役者や裏方たちが知らないはずはない。それなのに、それをみんなで無視し、黙殺し、封じ込めようとしています」 「もし隼人さんやほかの有力な役者さんたちが舞台上で、“セクハラ・パワハラをしてきた猿之助さんの味方”だと大きな声で表明するなら、被害を受けた人にとって、これ以上の恐怖はありません。もう声を上げるな、という恫喝なのでしょうか…」 まさにおっしゃる通り、ぐうの音もない正論だ。そして「セブン」は澤鷹屋グループの中で“絶対的立場”にあった猿之助のセクハラ・パワハラがいかに卑劣かを畳み掛けて指摘していく。もし拒否すれば無視されたり役を失う可能性から、被害者は声を上げることもできず、周りも見て見ぬふりだったことも。 加えて、こんな歌舞伎界が取り組むべきは深刻なハラスメントの現実を真摯に受け止めること、被害者のケア、さらに第三者委員会などで真相を徹底救命し、今後の防止のためにも新ルールを確立することだと主張するのだ。 「女性セブン」が市川猿之助や歌舞伎界を糾弾する違和感 これもまた、ぐうの音も出ない正論だ。おっしゃる通りだ。まったく正しい。でもねーーー。こうして加害者である猿之助を、そして歌舞伎界を糾弾する「セブン」だが、いや「セブン」だからこそ「よく言うよ」という厚顔無恥感や違和感が拭えない。なぜって、こうした性加害に対する正論は、そのままジャニーズ事務所と創始者である故・ジャニー喜多川氏に当てはまってしまうから。 例えば冒頭の歌舞伎界関係者のコメントの主語などを入れ替えたらこうなる。 「『週刊文春』が報じたジャニー喜多川さんのセクハラ・パワハラは、芸能界、マスコミ界では以前から少なからず知られていたことで、ジャニーさんに近いタレントや関係者たちが知らないはずはない。それなのに、それをみんなで無視し、黙殺し、封じ込めようとしています」 「もしマスコミやジャニーズタレントなど有力者が、“セクハラ・パワハラをしてきたジャニーさんの味方”だと大きな声で表明するなら、被害を受けた人にとって、これ以上の恐怖はありません。もう声を上げるな、という恫喝なのでしょうか…」 そして、ジャニーさんの行為をもし拒否すれば、無視されたり(デビューできなかったり)役を失う可能性から、被害者は声を上げることもできず、周りも見て見ぬふりだったことも瓜二つだ。そのうえ、こんな芸能界、マスコミが取り組むべきは深刻なハラスメントの現実を真摯に受け止めること、そして被害者のケア、さらに第三者委員会などで真相を徹底救命し、今後の防止のためにも新ルールを確立することという主張も、まったくその通り! こうして「セブン」は歌舞伎界、そして猿之助のセクハラ・パワハラ、性加害は声を大にして糾弾する。しかし一方のジャニーズ事務所とジャニー喜多川氏については無視するどころか告発者である性被害者をバッシングし、ジャニーズを擁護までする始末(「『ジャニーさんの性加害報道』勇気ある告発者カウアン・オカモトの正体」(5月4日号)。 もちろん「セブン」の猿之助記事は評価すべき報道だ。でも一方で、さらにひどいジャニー喜多川氏の性加害については口を噤む。この二枚舌ぶりはいかがなものか。今回の性加害に対する“正論”を見て、皮肉のひとつも言いたくなった。 次のページ 連続ドラマを降板した鈴木京香の心配な体調 12次のページ 楽天 性暴力被害の心理支援 関連記事 市川猿之助事件、臆測やこじつけを展開する女性週刊誌と「週刊文春」の差市川猿之助の性加害を報道した「女性セブン」、ジャニー氏の性加害は隠蔽の謎キンプリ、ジャニー氏への「デビュー直談判」を美談にする女性週刊誌――性加害問題無視の恐怖キンプリ・平野紫耀、ジャニーズ退所組への批判と嫌味を繰り広げる女性週刊誌KEIKO、元夫・小室哲哉の発言を完全否定! 本格復帰への始動と今後の目標