中学受験を小6で撤退――「公立中学の内申点」に不信感を抱く母が、3年間でわかったこと
拓海くんは公立中学でも野球部に入り、野球を継続。3年間レギュラーには定着できなかったものの、腐ることなく裏方仕事に徹していたという。拓海くんのそうした姿勢は、顧問の先生から担任の先生に伝えられていたらしく、中学3年時の三者面談で褒められたそうだ。
「『先生たち、俺のこと、意外とよく見ててくれるんだな』って、拓海はまんざらでもなさそうでしたね。良い先生が多かったというのもあって、私は『もし内申点が取れないのであれば、それは先生ではなくて、やっぱり(そう評価される)生徒が悪い』って思うようになりました(笑)」
ひかりさんは中学受験への参入を決めた当時を振り返って、「近所の公立中学のことをよく知りもせず、イメージやうわさ話だけで、『先生個人の主観だけで内申点をつけている』と決めつけていたのは反省しています」と述べる。
「でも、中学受験塾に通わせていたのは後悔していません。やっぱり、そのおかげで相当、基礎学力が付いたなと思うんです。それに、ここだけの話ですが、中学受験で賢い子たちがみんな抜けてくれたおかげで、中1の中間テストは、あの拓海でも上位の成績が出たんですよ。それに気を良くして、拓海は新たに行き出した高校受験塾で頑張るようになって、おかげさまでこの春、県立高校の上位校に入学することができました。きっと勉強って、親が無理やりやらせるものではないんですよね」
受験には適齢期があるというのは、よく聞く話だ。「馬を水辺に連れて行けても水を飲ますことはできない」ということわざがあるが、これは子育てにこそ当てはまるのかもしれない。
やはり親は、無理に我が子を受験に向かわせるのではなく、まずは、子ども自身が「こうしたい」と希望を伝えてくれるのを待ち、それを聞くことができたら、黙って寄り添う。中学受験する/しないにかかわらず、これが子育てでは一番、大切なことなのかもしれない。