平野紫耀ら脱退直前――キンプリは「フードコート」のようなグループだと思うワケ
これが、キンプリのデビューまでのざっくりとした道のりだが、先に述べたように、筆者の彼らのイメージは、ずっと“メインディッシュが6皿並べられたようなグループ”なのだ。 6人それぞれが、誰もが大好きな“鉄板メニュー”のようで、どのメンバーを推そうか……なんて 考えるうちに、キンプリって“フードコート”みたいなものなのかなという気がしてきた。
ハンバーグにラーメン、カレー、オムライス、天丼、そば・うどん……個性豊かな人気店が一挙に揃うフードコート。お客さんはそれぞれ好きなお店のメニューを選び、同じ場所で一緒に食事を楽しむ。 キンプリ、そしてそのファンを想像すると、ますますフードコートのイメージに近い。
しかしフードコートは、各店が一つになって何かに取り組んだり、コラボするということは、基本的にないのではないか。
キンプリはデビューするにあたり、これまでの「VS」構造が解体され、 新たに「&」という記号が与えられた。これは、一つになるという意味合いが込められたものだが、“フードコート・キング・アンド・プリンス”は、結局1店ずつの「VS」スタイルという印象が強かった。彼らは年齢差もほぼなく、それぞれのキャラの強さもあってか、絶対的なまとめ役やバランサーが登場しにくかったという面があるように思うのだ。
キンプリがティアラから愛されてきたことは確か
“王子様的正統派ジャニーズ”という事務所の看板的役割も大きかったキンプリ。その半面、「ジャニーズなのに」「ジャニーズらしからぬ」といった方向性で、世間から注目されることも多かった。そんな中、事務所から正統派を求められることに重圧を感じ、自分たちが思い描く活動と現実に乖離が生じたのかもしれない。
メンバーは海外での活動を希望したものの、コロナ禍の影響などもあり、それもなかなか難しかった。そして去る者、残る者が生まれ、「King & Prince」という名前はこの先、永瀬と高橋の2人で背負っていくこととなった。
「だから僕は言ったじゃない」――当初、6人でのデビューを想定していなかったというジャニーさんはそう言うかもしれない。もともと6店が出店していたフードコートは、1店が去り、3店が去り――5月23日以降、2店だけになってしまう。
しかし、人気店が2店あれば、座席は埋まる。4店分の“設備”や“敷地”も使えるかもしれないし、うまくやっていけるだろう。そういう人気フードコートだっていくつもある。
もし、「&」ではなく「VS」のままだったら、ジャニーさんがもっとデビューに意欲的だったら(その場合、この6人でなくなっていた可能性もあるが)――たらればばかり言ってもしかたないが、デビューから5年間、彼らが多くのティアラに夢を与え、愛されてきたことは確かだ。それは脱退が発表されてからの彼らのCD売り上げからも強く実感できる。
フードコートのあった施設からいち早く独立した岩橋は、アメリカに拠点を移し、それなりに順調で見通しも明るい 。そして今後3人も、フードコートを飛び出して、岩橋のように独立したお店を出すのか、はたまた誰かと一緒に新たなお店やサービスを立ち上げるのか。それはまだわからないが、それぞれ人気店・行列店になることは確実だと思っている。