コラム
知られざる女子刑務所ライフ168

獄中では「日本地図」がダントツ人気! 元女囚が教える、受刑者たちの読書事情

2023/04/30 17:00
中野瑠美改め瑠壬(作家)
写真ACより

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける瑠壬(るみ)さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

清原和博さんを支えたお父さん

 あっちゅう間にゴールデンウィークですね。今年はお出かけも増えてるそうで、よかったです。まあ瑠壬も親が年寄りやから、まだコロナ感染はちょっと心配なんですけどね。

 お年寄りは急に具合が悪くなって「危ないかも……」はよくあるんですが、清原和博さんのお父さんは、なんと容体が急変して帰らぬ人になってしまったそうです。

 しかもキヨの次男・勝児さんが甲子園に出て4日後。入院先ではお元気だったそうで、認知症でもお孫さんの活躍はわかってたと思いますよ。

 キヨがパクられた(逮捕された)時、お父さんは「やってしもたことはしゃあない。これから頑張れ」ちゅう「一行だけ」のお手紙をくれて、身元引受人として、お母さんと共にキヨを支え続けたのは有名な話です。

 家族の逮捕で一家離散になるのは珍しくないですが、キヨは離婚はしても家族は仲よしで、ほんまよかったです。

 お母さんは前に亡くなられてますが、キヨは毎月の薬物検査が終わると、お父さんに電話で報告してたそう。

 キヨは取材に対してお父さんのことを「真面目で、無口で、仕事熱心な人でした。我慢強く、粘り強く、本当の男の強さを教えてもらった」と振り返っていて、涙が出ます。お父さん、どうぞ安らかに。

コミュニケーション・スキルがあれば再犯しない?

 瑠壬もいろいろバタバタですが、連休中には元・吉本興業の専務さんの『それでは釈放前教育を始めます! 10年100回通い詰めた全国刑務所ワチャワチャ訪問記』(KADOKAWA)は読みたいと思てます。

 著者の竹中功さんは、吉本時代は芸人さんや会社の問題を記者会見で謝罪する「謝罪マスター」として有名で、退職後は「釈放前指導導入教育員」として、「社会復帰プログラム」の授業を10年もされてるそうです。

 瑠壬もちらっと書きましたが、みんな「浦島太郎」やから、出所前にシャバの常識みたいのを教わるんですよ。

 竹中さんは、「コミュニケーション力」とかを教えるそうですが、「生徒さん」に再犯者はほとんどいてないそうですよ。コミュ力、大事ですね。

 懲役(受刑者)は、そもそも成育環境に問題のある人が多いです。子どもの頃に家族と話ができずに育つと、大人になっても会話がきちんとできひんので、社会になじむのが難しくなります。事件を起こして刑期を務めて、せっかくシャバに出ても、うまく会話ができひんことで孤立してしまい、またムショに……はあるあるです。

 授業では「インタビューの仕方」も教わるそうで、瑠壬も受けたかったですね。瑠壬がいた頃の「釈前」(しゃくぜん、釈放前教育)では、こんなのなかったです。

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