コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

ジャガー横田夫・木下博勝氏の“さらけ出す子育て”の問題点――学校にとっては「要注意人物」でしかない?

2023/04/13 21:00
仁科友里(ライター)

 またジャガーは、教師や学校側が、木下氏をどう捉えているかについても考えが及んでいないと思う。

 クラス委員になれなかった大維志くんは、校長先生に面談を申し込み、いろいろと話を聞いてもらったそうだ。なぜ校長先生と面談する必要があるのか、私には理解できないが、木下氏はインスタグラムで「何て良い学校なんでしょう、校長先生の寛大さに涙が出ます。でも、良く校長先生とさしで話し合いるな~と感心したりするのは親バカでしょうか。(笑)」 と満足そうに語り、校長先生や学校、そして何よりわが子の勇気を褒め称えていた。

 しかし、もし校長先生の都合が合わず、面談がかなわなかったら、どうなっていたのだろうか。“さらけ出す子育て” を実践する木下氏は、インスタグラムに「校長先生に面談を申し入れたが、断られた」と書いてしまう可能性があり、その場合、「あそこの校長は生徒に冷たい、面倒見が悪い」と学校のイメージダウンにつながっていたかもしれない 。学校側から見ると、木下氏のように何でも公表してしまう親は、“要注意人物”でしかないとも思えてしまう 。

 大維志くんのためを思って厳しく指導したとしても、ハラスメントや横暴と受け止められ、有名人の父親のSNSで拡散される可能性がある――そう考えると、周囲の大人は「触らぬ神に祟りなし」とばかりに、表面的には和やかに、けれど、警戒心を持って大維志くんに接するようになるのではないか。もし実際にそういう状態にあるならば、ジャガーの望む「他人様のしつけ」はあまり期待できないだろう。

 私には、有名人の夫となり、テレビに出ることで承認欲求を満たしてきた木下氏だが、肥大化する欲求を抑制できず、 今度はYouTubeチャンネルやインスタグラムに活路を見いだし、大維志くんをネタにしているように見えて、気の毒になってしまう。しかしジャガーのインタビュー記事によれば、大維志くんは海外の大学に進学を希望しているとのこと。さすがに海外まで行けば、父親も“さらけ出す育児”を 、そう簡単に実践できないだろう。大維志くんもいろいろ大変だろうが、夢をかなえるため、今ある環境を信じて、しっかり勉学に励んでいただきたいものだ。


仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2023/04/13 21:00
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