『るろうに剣心』剣心役の声優・斉藤壮馬は、涼風真世より「演技がうまい」と関係者期待
3月22日にフジテレビのアニメ公式YouTubeチャンネルで配信された『フジテレビアニメラインナップ発表会 2023』にて、7月から「ノイタミナ」枠で『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(以下、『るろ剣』)が放送されると発表があった。キャストも続々と明らかになり、ネット上ではさまざまな意見が寄せられている中、業界関係者は「旧アニメを超えるのでは」と期待を寄せる。
『るろ剣』の原作は、漫画家・和月伸宏氏が1994~99年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載していた人気コミック。明治時代を舞台に、かつて“人斬り抜刀斎”として恐れられた伝説の剣客・緋村剣心が「不殺」(ころさず)を誓いながら、宿敵たちとの戦いを通じて、贖罪の答えと新たな時代での生き方を模索していく姿を描いた作品だ。
「96~98年にはフジテレビ系でテレビアニメが放送され、劇場版やOVA(オリジナルビデオアニメ)も制作。さらに2012年には佐藤健主演で実写映画化を果たし、全5作が公開され、シリーズ累計興行収入は195億2000万円を記録しました。現在は続編が月刊誌『ジャンプスクエア』(同)にて掲載されており、コミックスの全世界シリーズ累計発行部数は7200万部を突破するなど、メガヒット作品となっています」(芸能ライター)
今回のテレビアニメプロジェクトは、 21年12月19日に開催されたイベント『ジャンプフェスタ2022』にて発表され、以降、続々と詳細が明らかに。和月氏がキャラクターデザインやシナリオなど全編にわたって完全監修し、原作を第1話から再構築するという。
また、声優陣も一新され、主人公・緋村剣心役は斉藤壮馬、ヒロイン・神谷薫役は高橋李依が務めるほか、明神弥彦役を小市眞琴、相楽左之助役は八代拓、高荷恵役は大西沙織、四乃森蒼紫役を内田雄馬が担当する。
公式サイトでは、ティザー映像やPVも次々公開。6人のキャラクターボイスも“日めくり形式”で確認でき、ネット上では「斉藤壮馬さんの剣心は楽しみしかない!」「PV見たけど意外と違和感ないかも」「放送が楽しみ」と期待の声もある一方で、「旧作のイメージが強すぎてなんともいえない」「声優変更は寂しい」「やっぱり受け入れられない」とネガティブな意見が噴出している。
そんな『るろ剣』の旧作アニメのキャスティング背景について、業界係者は以下のように語る。
「初代・剣心役は宝塚歌劇団出身の涼風真世、薫役には女優・藤谷美紀が起用されており、ほかにも声優ではない俳優が多く出演していました。声優のギャラは、俳優の協同組合である『日本俳優連合(以下、日俳連)』が定める“ランク制”によって支払われ、基本的に経験年数とともにランクが上がり、その分報酬も増えるというシステムになっています。しかし、日俳連に加入していない場合、その制度に縛られることなく、経費削減のためにより安い金額でオファーをすることが可能になる。制作サイドは、日俳連のルールを無視したいがために、声優ではない俳優たちを多くキャスティングしたのだと思われます」(声優業界関係者)
このような例は、ほかにも『こちら亀有公園前派出所』(フジテレビ系)などにみられるそうだ。なお、当時、日俳連に所属している声優たちには、「ルールを無視した作品には出演しないようにとお達しがあり、出演したタレントは評価が得られにくい状態にあった」(同)という。
なお、『るろ剣』は元宝塚の月組トップスターが声優に挑戦することで大きな話題を呼んだが、女性の涼風が男性の剣心を演じることには原作ファンから否定的な意見も上がった。とはいえ、宝塚現役時代、さまざまな役を見事に演じ分けることから「七色の声」と称されていた涼風は、中性的な顔立ちの剣心役にハマり、本職の声優との演技力の差を指摘されつつも、次第にファンから受け入れられるように。キャスティングは見事成功したといえるだろう。
そのため、ネット上では前述の通り、新作アニメでの声優変更を嘆く声も見受けられる一方、前出の業界関係者は“前作超え”の可能性を指摘する。
「2代目剣心役の斉藤は、声優としてまだまだ未熟ですが、前任の涼風よりは演技がうまいと思いますよ。彼は現在31歳と若手ながらも、場数を多く踏んでいる声優の一人ですから。それに、今回の新作について原作者の和月氏は、『今作は信頼できる新スタッフと忖度一切なしのガチ選考で選ばれた実力派新キャストでの制作となります』とコメントを寄せ、『第一回アフレコに参加しましたが文句無しの赤丸花丸太鼓判』と絶賛していました。原作者も納得のキャスティングのようですし、前作以上に完成度の高い作品になっているのでは」(同)
かつてヒットしたテレビアニメのリメークで成功した作品といえば、同じ「週刊少年ジャンプ」作品でもある、『SLAM DUNK』(作・井上雄彦)の新作アニメ、映画『THE FIRST SLAM DUNK』(22年)が挙げられるだろう。累計興行収入は120億円を突破するロングランヒットを記録している。
「26年ぶりの新作となった『THE FIRST SLAM DUNK』も、原作者の井上氏が自ら監督・脚本を担当。キャスティングにも関わったようで、声優陣が一新され、当初は不満の声も上がっていましたが、ふたを開けてみれば下馬評を見事覆し、メガヒットを飛ばしています。『るろ剣』も、原作者の意向が大いに反映されているでしょうから、成功しないわけがありません。“声優を交代しても成功する”ことを『THE FIRST SLAM DUNK』が証明した直後だけにハードルは一気に上がりましたが、『るろ剣』もファンを十分に満足させる作品になると思います」(同)
再び一大ブームを巻き起こすことができるか、放送を楽しみに待ちたいところだ。