井ノ原快彦こそジャニーズの“顔”にふさわしい――トニセンコンサートに見た“やさしい世界”
それにしてもイノッチは、ジャニーズタレントとしては稀有な存在だ。NHK朝の情報番組『あさイチ』の司会を長きにわたり務め、現在は『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)の二代目宣伝部長(MC)を担当するなど、すっかり大物タレントに。一方、俳優業も好調で、主演するテレビ朝日系の刑事ドラマ『特捜9』シリーズは、4月からシーズン6が放送予定だ。人当たりのいいニコニコした笑顔が印象的なイノッチは、ジャニーズファンの枠を超え、お茶の間に愛される存在として、広く親しまれてきた印象が強い。
とにかくコンプラが重視され、何かあればすぐ炎上するデリケートな今の時代。ジャニーズを取り巻く環境にも逆風吹く中、このイノッチの好感度――もっと言うと“いいひと”そうな感じは、ジャニーズの“顔”として適切だったのかもしれない。
真面目な万年好青年というイメージが強く、かつタレント時代から長年Jr.と仕事をしてきたタッキーが“顔”だったことも、適切だったはずである。しかし、彼自身が個人的に大事にするタレントを重用しているのではないかと、ファンを疑心暗鬼にさせ、「タキニ」という言葉まで生んでしまった一面はスルーできない。
もちろんジャニーさんだって、同じようにオキニに甘いところがあったのは有名な話だし、タッキーはそういう意味ではジャニーイズムをきっちり継承していたのかもしれないが、当たり前ではあるものの、タッキーはジャニーさんではない。
その審美眼まで受け継いだわけではないし、オキニ贔屓疑惑でファンを紛糾させたのも、ジャニーさんのような“許されキャラ”ではないからだ (絶対にそんなことするわけないけれど、タッキーがJr.に「ユー、不細工だね、HAHAHA」なんて言っても、それは面白エピソードに昇華されないだろう)。
そういった意味でも、これまでの活動で、Jr.たちとの接点があまりなかったイノッチは、彼らをフラットな視点で見ることができると思うのだ (「Jr.たちのことを知らないのに社長が務まるの?」という声ももちろんあると思いますが……)。