サイゾーウーマンコラム仁科友里「女のための有名人深読み週報」小籔千豊は丸くなったのか? コラム 仁科友里「女のための有名人深読み週報」 『あちこちオードリー』小籔千豊は丸くなった? 時代に即した“説教芸”のあり方 2023/02/16 21:00 仁科友里(ライター) コラム 小籔千豊、丁寧に説明を重ねるという若手への説教スタイル この日の『あちこちオードリー』のゲストは、劇団ダウ90000主宰の蓮見翔と小籔の2人。小籔の立ち居振る舞いは、やはり過去のそれとは変化しているように感じた。 例えば、小籔はかなり年下である売れっ子の蓮見に対し、先輩風を吹かせることもなく、むやみにツッコむこともなく、体をきちんと蓮見側に向けて、真剣に話を聞いていた。その昔、小籔は吉本の後輩や若い人の話を聞く時、下を向いたままのことが珍しくなかった(おそらく気心が知れているからだろうが)と記憶しているから、過去と今では雲泥の差といえるのではないか。 また、下の世代にキツいことを言う際、その“理由”を明らかにした点も、ただ言いっぱなしにしていた過去に比べ、変わったなと思った。 小籔は、吉本新喜劇の座長になってすぐに、大勢の前で「『私、俺、出番ないやん』と思ったり、『あの役はホンマやったら俺の役ちゃうか、あいつばかり何で使ってるんですか』と思う奴いたら、全然言うてこい。この役やったら、負けへんていうのがあったら、全然言うてこい。絶対1回か2回使う」と“売り込み”を歓迎したという。しかし、「その代わり、それでスベったら一生使わん」と達成すべき壁を明示したところ、小籔いわく「誰も(不平不満を)言うてこなくなった」そうだ。 昭和のスポコン的な話だけに、時代錯誤と受け取られかねないが、小籔は続けて「野球選手かて、そういうことやん。二軍でずっと振ってて一軍に呼ばれて、打ったらスタメンになるけど、大事なところで三振したらそれは……。一緒やから」と、プロの世界ならではの構造を説明して、「(だから若い世代は)甘えてんねん」とお説教で締めた。 いきなり「最近の若者は甘えてる、やる気がない」などと突き放さず、若手の将来を見据えながら、なぜそう感じるのかを丁寧に説明を重ねた上で、キツいことを言う――それが今の小籔スタイルなのではないか。 一方で、小籔はキツいことを言うばかりではない。 蓮見は今、仕事のオファーがたくさん来ているにもかかわらず、劇団員がイマイチ努力しないと嘆くが、小籔は「モチベーション、人間全員が揃うことなんてない」「全員が蓮見さんと同じモチベーションで能力あったら、めちゃくちゃケンカしてる」と、やる気がない人がいるからこそ、劇団の平和が保たれ、蓮見のやりたい仕事ができていると分析しつつ、下の立場である劇団員をかばった。これもまた小籔の新たな一面のようにも思った。 次のページ 小籔千豊、かつては「美魔女」批判も……女性への主張をしなくなった? 前のページ123次のページ Yahoo 吉本新喜劇ワールドツアー〜60周年 それがどうした!〜 DVD-BOX 吉本新喜劇 関連記事 小籔千豊は、なぜ美魔女に怒るのか? 「白髪染めを我慢する母」賛美の単純すぎる本心貴乃花と河野景子の娘・白河れいに勧めたい「個性のなさ」が生きるあの仕事山本圭壱と結婚した西野未姫が、「超年上婚は得なし」という決めつけを覆したワケryuchellはまるで「昭和のお父さん」――pecoとの離婚後、失望する人が多い理由フワちゃん、KARAを3時間待たせた“遅刻癖”こそ、仕事が途切れない理由である