コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

メーガンは本当に“多様性のシンボル”なのか?Netflix『ハリー&メーガン』にモヤつく理由

2023/01/28 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

 とくにひどかったのは、イギリス国歌さえも知らないのでグーグルで調べたという発言や、女王に謁見するときに女性が行わねばならない、「コーテシー(courtesy)」にのっとったお辞儀の作法を「中世みたい!」といって、バカにしたような笑みを浮かべたシーンです。ヘンリー王子が、この時、さすがに妻を擁護する言葉もなく、困ったような顔で沈黙したのは興味深かったですね。

 メーガンさんは自分を「優等生」だと主張しますが、カメラを向けられると、その場を盛り上げるために口からあらぬ言葉がしゃしゃり出てしまう生粋のタレント気質なのかもしれません。とにかく、おおげさに両腕を広げ、「こういうお辞儀までする人もいる」と言ってから「中世みたい!」と付け足した彼女の様子には、あからさまな悪意が感じられました。

「なにもかも上手にこなせて当然」とされる王室の伝統と流儀の前に敗北し、「(私は)頑張ったけれど、それでも足りなかった」と涙するメーガンさんに、同情の余地はありますが、本当の意味で、馴染むための努力を行ったかどうかも私には疑わしく思える部分もあります。「家族を守る」と言葉面は立派ですが、ヘンリー王子が行う度重なる引っ越しなどに伴う莫大な金銭の支出以外、「家族を守る」という目標に具体的に取り組めていたかも疑わしいですね。感情の浮き沈みが台風に激しい妻にひたすら引きずられていただけ、というように見えてしまいました。

次回に続きます。

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

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最終更新:2023/01/28 17:00
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