悪質な「マイカゴ万引き」発生! めちゃくちゃな言い分の18歳常習犯に、冷たい手錠がかかった瞬間
駆けつけた警察官による所持品検査の結果、財布から学生証が出てきたので見せてもらうと、通信制高校に籍を置く学生で年齢は18歳。住居として、ここから少し離れた町の住所が記載されていますが、そこには帰っていないそうで、いまは友達や先輩の家を転々としている状態だと話しています。
家出中の特定少年による犯行とわかり、交番から来た男女の警察官のほか、少年課の刑事や近くを巡回していた自ら隊員まで事務所に駆け付けてきました。ここだけ見れば大事件の様相ですが、警察の人たちに取り囲まれて事情聴取を受ける男に反省の色はなく、先輩が金を払うことになっていたと荒唐無稽な言い訳を繰り返しています。
「お前、警察に捕まったことあるか?」
「ああ、あるよ」
「その時は、何をした? 万引きか?」
「ああ、あと空き家に入って寝ちゃって、捕まったこともある」
犯歴照会の結果、そのほかの事実も判明したようで、男は逮捕されることになりました。
直接の逮捕者である私も、警察署への同行を当然に求められます。少年課の刑事に手錠をかけられ、警察官に脇を固められて連行される男の姿を見ながら、顔を上気させた店長がつぶきました。
「18歳で手錠をはめられる人生なんて、ちょっと想像できないな」
「親や家族の問題も大きいでしょうから、若い子の逮捕はかわいそうですよね」
「かわいそう? そこまでは同情できないよ。しょせん泥棒だし」
「まあ、そうですけど……」
逮捕手続きのため警察署に入ると、この度はお手柄でしたと、少年課の刑事さんから労われます。
「いえいえ、せっかく朝から防犯警戒していただいたのに、また忙しくさせてしまって申し訳ありません」
「そうだったんですか。今回のヤツは、地域の扱いじゃないから、気にしないで大丈夫ですよ」
おそらくは少年課にとって、おいしい被疑者だったのでしょう。同じ警察署内の話であっても、1階(地域課)と3階(少年課、刑事課)の感覚は別のようで、妙に手厚く扱われて困惑した次第です。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)
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