『ザ・ノンフィクション』コロナと物価高、“勝負師”なフィリピン人店主の一手は?「母と娘のラーメン ~ピンチをチャンスに変える人~」
日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。11月20日は「母と娘のラーメン ~ピンチをチャンスに変える人~」というテーマで放送された。
『ザ・ノンフィクション』あらすじ
ラーメン激戦区、東京のビジネス街・神田で、コロナ禍の今日まで13年暖簾を守り続けてきた店主がいる。フィリピン人女性のカンラスだ。
カンラスはフィリピンの貧しい家庭で育った。学費を払えず、母が学校に頭を下げている姿を見たことがあると話す。そんな家計を支えるため17歳から工場で働く中、ミスコンに出たところ入賞。「日本の一流のホテルで働ける」とスカウトされるも、連れていかれたのは東京・錦糸町のフィリピンパブだった。
日本語もほとんどわからない状況で、カンラスは客との子を身ごもる。里帰り出産し、娘の由奈が産まれるも、その後、父親である客からの連絡は途絶えてしまう。相手からの援助は期待できないものの、カンラスは由奈にちゃんとした教育を受けさせたいという思いから、1歳の彼女を連れ日本に戻る。
あるラーメン店で厨房や皿洗いの仕事をしていたものの、店を閉めると告げられたカンラスは、居抜きで引継ぎ、自分のラーメン店として新装開店させることを決断。以降、神田というラーメン激戦区で13年、店を継続させてきた。
ところが、新型コロナウイルスによる自粛ムードや緊急事態宣言等の影響で、神田の町からは人が消え、店の売上はそれまでの1/10にまで落ち込んでしまう。2022年に入り徐々に人は増えてきたものの、今度は円安による物価高が直撃。店の看板ともいえる、つけ麺の上にたっぷりとのせていたとろ肉の原材料(豚バラ)の値段は、1.5倍になってしまった。
ラーメンには1杯1000円を超えると売れ行きが悪くなる「1000円の壁」というものがあるが、カンラスは1杯1150円に値上げすることを決断。代わりに麺のグレードも上げ、客足をキープする。
一方で、カンラスは「防戦一方」というわけではない。コロナにより閉まった店も多く、家賃が安くなった今のタイミングを狙い、あえて2号店の出店にも動き出す。カンラスの元で長く働くスタッフは、そんな彼女を「勝負師」と評していた。
なお、カンラスの娘の由奈は19歳の大学生になり、店の手伝いをしつつ、大学では学費免除を狙えるほどの優秀な成績を維持し続けている。カンラスは由奈がかわいくてたまらないようで、門限は午後9時と厳しく、さらに由奈が出かけると言うとついて行きたがる。
由奈はそんなカンラスをうっとうしそうにしているところもあるが、母のいない番組スタッフとの取材では、カンラスのことを「力になる存在」と話し、番組の最後では二人で食のイベントに行くなど、仲の良さそうな様子であった。