コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

『ワイドナショー』武田鉄矢を「老害」から「いじってもいい人」に味変させた野沢直子のスゴ技

2022/11/17 21:00
仁科友里(ライター)

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

野沢直子にしてやられた武田鉄矢(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「重要だって、あたしは」野沢直子
『ワイドナショー』(11月13日、フジテレビ系)

 テレビを見て、こんなに笑ったのは久しぶりだ。11月13日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)にリモート出演した芸人・野沢直子。彼女が米サンフランシスコ在住ということもあり、アメリカの中間選挙についてコメントしていた。

 同番組コメンテーターのダウンタウン・松本人志は「いらんいらん、野沢、いらんて」と、野沢が出演する必要はないと言っていたが、野沢は「いるって。いるって。あたし、いるって」「重要だって、あたしは」と、最近のテレビではとんと見なくなった、いい意味での“あつかましさ”を見せてくれる。

 松本がそれほど親しくないゲストに「いらん」と言ってしまったら、このご時世、「松本がパワハラしている」と批判されかねないが、野沢とは『夢で逢えたら』(同、1988~91年)で共演した仲のため、松本も軽口を叩けたのだろう。

 しかし、この日の野沢は「重要だって、あたしは」という発言通り、ものすごい“ワザ”を見せてくれた。

 同番組ゲストの西川貴教は、アメリカの中間選挙に関して、同国の若者は「政治参加の意識がすごい高い」「18歳~29歳までの方の『選挙行きますか?』という(質問の)答えに、40%の方が『選挙行きます』っておっしゃっていて……」と指摘。それに対し、日本の若者は「SNSとかで、ああだこうだって政治のこと批判する割に、誰も全然(選挙に)行かない」「『何でなの?』って(聞いたら)、『わからないから』とか。そんな無責任な形で、結局、白票を投じたりとか、意味のないことに結局、時間を使ってしまっている」と、苦言を呈していた。

 しかし、西川が話し終えていないのに、同じくゲストの俳優・武田鉄矢が突然「すいません、海の向こう、ひとつ聞いていいですか?」と割り込んできた。

 西川が話している最中なので驚いたが、人の話をさえぎってまでする質問なので、おそらく西川の発言に関係することを野沢に聞きたいのだろう……そう思っていたら、武田は「やっぱり、物価っていうのは高いの?」と、まったく無関係な質問をしたのだ。

 この事態に、ほかの出演者が固まる中、野沢がどう切り返したかというと、「高いんですよ」と即答した後、「この間、ほら、出た時に武田鉄矢さんと一緒だったじゃないですか」と、武田に確認。確かに2人は、10月9日放送の同番組でも共演しており、武田が「はいはい」と答えると、野沢は「この(物価高の)話、すごいしましたよね」と、ほんの1カ月前にも、同じような話をしたことをさらっと指摘したのである。

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