廃院になった精神病院の闇――元患者が明かす「廊下でレイプ」「差し入れ着服」恐ろしい実態
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
精神病院に3カ月入院
突然ですが、皆さんは精神病院に行ったことがありますか?
今は、小ぎれいな心療内科のクリニックとか珍しくないですが、少し前までは「精神病院」というと、不衛生で虐待も普通なイメージで、実際にそうでした。
瑠美は、たぶんその中でも一番えぐい病院に3カ月も入れられていました。本(イースト・プレス『女子刑務所ライフ!』)でも少し書いていますが、思い出すのもつらくて、そんなに深掘りはしてません。
でも、この間、偶然に病院の近くを通ってしまい、いろいろ思い出しました。今は笑い話ですが、マジで生命の危険を感じましたね。
「患者による殺人」で廃院になった精神病院
その病院は、「大和川(やまとがわ)病院」といい、奈良との県境、大阪府柏原市にありました。
1993年に起こった患者さんの虐待死がめくれた(発覚した)ことが問題になって、97年に廃院になったのですが、瑠美がいたのは94年です。暴力は日常的で、糞尿と消毒薬の匂いがひどく、地獄でした。ボスみたいな患者がほかの患者さんをどつくのも普通で、廃院のきっかけである虐待死も、ボス患者による暴行が原因でした。
ちなみに69年には、脱走しようとした患者さんが、無資格の看護スタッフにバットで殴られて殺されてます。
今は病院の建物は解体されてますが、しばらく残っていた建物周辺は心霊スポットとしても人気があったようです。
先日、瑠美はクルマを運転中に道を間違えて川沿いに出てしまい、しばらく走って「あれ? ここ見たことあるな……」って。当時の建物はないですが、川や線路はそのままやから、どんどん思い出して怖くなりました。