なにわ男子・大橋和也の「好きな小説家」の1冊を読んだら……天真爛漫キャラとの“ギャップ”がすごい!
編集・B子 さて、『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』が好きなはっすんに、おすすめしたい本はある?
ライター・保田 人間の闇に惹かれがちな大橋くんには、『鬼の跫(あし)音』(著:道尾秀介/KADOKAWA)をおすすめしたい! 基本的には『崩れる』と同じ、1話完結型のミステリー短編集だよ。
※以下、『鬼の跫音』収録「悪意の顔」「箱詰めの文字」のネタバレが含まれます。
編集・B子 道尾さんといえば、2011年に『月と蟹』(文藝春秋)を受賞した人気作家だよね。それで、一体どんな作品なの?
ライター・保田 『崩れる』と同様に、事件や謎解きが主題ではないミステリー。読者に示される情報が巧みに計算されていて、絶妙なところで語り手の闇が明かされるから、ラストまで読んだらもう一度冒頭から読み返したくなるような作品が多いよ。
たとえば「悪意の顔」は、語り手にとってはファンタジーを含んだ友情物語なんだけど、最後の一文をもとによく読み直すと、読者にとってはファンタジー要素なんかどこにもない、恐ろしい殺人事件のようにも解釈できる。多分どちらが正解というわけでもなくて、読者の考察に作品が委ねられているところが魅力なんだよね。
編集・B子 うわ〜、気になる! ここ数年、ミステリードラマの考察ってSNS上でも流行してるから、そのうちドラマ化されそうじゃない?
ライター・保田 短篇だから連続ドラマは難しいだろうけど、『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系)みたいなオムニバス形式なら、十分あり得そう。
編集・B子 はっすんが主演でドラマ化するなら、どの話がいいだろう?
ライター・保田 私が見てみたいのは「箱詰めの文字」かな。ミステリー小説家のもとに、突然若い男性が「空き巣をしてしまった」と、ざんげに来て……というストーリー。この作品の語り手は、穏やかな好青年に見えて、実は相当裏のあるキャラクターだから、“ダークな大橋和也”を存分に発揮してくれそう。
編集・B子 それ、絶対に実現してほしい。フジテレビの偉い人、ぜひご検討ください!