サイゾーウーマンコラム知られざる女子刑務所ライフ『一橋桐子の犯罪日記』はファンタジー コラム 知られざる女子刑務所ライフ155 NHKドラマ『一橋桐子の犯罪日記』はファンタジー! 「トー横はなくならない」と元女囚が断言するワケ 2022/10/30 16:00 中野瑠美改め瑠壬(作家) 知られざる女子刑務所ライフ 写真ACより 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。 ドラマ『一橋桐子の犯罪日記』が好評 「刑務所に入りたくて事件を起こそうとするおばあさん」 なんだか微妙な設定ですが、あの松坂慶子さん主演のテレビドラマ『一橋桐子の犯罪日記』(NHK)の役やそうです。めっちゃ話題やそうですね。皆さんはご覧になってます? 瑠美はほとんどテレビを見ないのですが、編集者さんから聞いて、ちょっと見てみました。まあなんちゅうか、「お話」としてはおもろいですけど、ファンタジー……ですかね。でもレビューには「自分事にしか思えない」とかあって、好評のようです。 松坂さん演じる桐子さんは、独りぼっちでお金もなくて、テレビで「刑務所に入りたくてやった事件」を見て、「私も……」となったちゅうんですね。 ムショで苦労した瑠美的には、なんでそうなるかわからへんのですが、最近は目立ちますよね、こうゆう考え方。 先日は、見知らぬおばあさんを殴り殺した26歳の犯人が懲役24年を打たれて(言い渡されて)ましたが、満期出所で50歳です。 人生100年時代、まだまだ時間がありますが、ムショ帰りはまず生活できませんよね。確実にまたムショ行きでしょう。もちろん、また「被害者」が出ます。 ムショは甘くない! 何回か書いてますが、ムショはそんなに甘いところとちがいます。 いじめはあるし、お菓子はイベントやお正月など特別な時しか食べられへんし、お風呂も毎日は入れません。あと医者もロクにいてないので、虫歯が痛くても鎮痛剤は1カ月後とかも珍しくないです。酒もタバコもダメで早寝早起きですから、キホン健康的ですが、持病がある人は高確率で悪化します。 まあ三食とお布団はあるので、シャバに居場所がなかった人にはありがたいのはホンマですね。 特にネンショー(少年院)は、親に大事にされてない子がほとんどで、売春とか万引をさせられていた子も多いですから、そういう子たちは「ずっとネンショーで暮らしたい」と思うんですね。 でも、ネンショーは1年くらいで出てきちゃいますから、出たらまたおなかがすくし、寝るところがないし、親にひどいことをされます。ネンショーに戻りたいと思うのもムリはないです。 次のページ 「トー横」「グリ下」的なものはなくならない 12次のページ 楽天 Yahoo セブンネット 女子刑務所ライフ! 関連記事 後藤祐樹『アウトローの哲学』から読む、刑務所でのイジメと読書の大事さ! 元女囚がウルッときたポイントは?刑務所に入りたい高齢者、NHK『一橋桐子の犯罪日記』はリアル? 12年のムショ生活で見た「介護される」受刑者の姿ムショではパジャマや靴下も“先輩”から受け継いだ中古品! 元女囚が教える「官給品」の世界「生活保護の手続き方法」指導も! 今どきの刑務所、元女囚がうらやましがる社会復帰プログラム刑務所では「いかついから」メガネ禁止!? 元女囚が教える「最近の刑務所事情」