知られざる女子刑務所ライフ【再掲】

刑務所に入りたい高齢者、NHK『一橋桐子の犯罪日記』はリアル? 12年のムショ生活で見た「介護される」受刑者の姿

2022/10/15 22:00
中野瑠美改め瑠壬(作家)

すでに、お一人では何もできない状態を介護していた

 ネット情報によりますと、獄中で破産手続きをされた時は、負債総額4300億円で、個人としては史上最高額だそうです。そして、「懲役12年」の判決が確定したのは21世紀になってからで、2003年4月でした。いかんせん被害額がハンパないので、調べることもようけあったからでしょうが、1930年生まれですから、当時もう73歳ですよ。

 そこから12年て、ため息が出ますよね。私がお世話をさせていただいた頃は、もうお一人では何もできない状態でした。ずっと一緒だったこともあり、私は縫さんが好きでしたね。「養女においで」とも言われました。

 縫さんは、元気な時には毎晩拝んでおられました。そして、私の肩をたたいて「ミーサンが降りてきはったで。ちゃんと守ってもらうように言うたから、安心しいや」と言ってくれました。ミーサンとは「巳さん」で、蛇の神様ですね。「三輪そうめん」で有名な奈良の大神(おおみわ)神社などにおまつりされています。関西ではメジャーだと思うんですが、ご存じでしょうか。

 初犯ですから仮釈放もあったようで、ひっそりと出所されて14年頃に亡くならはったそうです。思い出して、また会いたくなりました。合掌。


中野瑠美改め瑠壬(作家)

中野瑠美改め瑠壬(作家)

1972年大阪・堺市生まれ。覚せい剤取締法違反で4回逮捕され、合計12年の懲役を経験。出所後は、刑事収容施設への差し入れ代行業や収容者と家族の相談窓口などを行う。現在は堺市内で「Night Space祭」を経営。著書『女子刑務所ライフ』(イースト・プレス)がある。

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最終更新:2022/10/15 22:00
一橋桐子(76)の犯罪日記
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