コラム
知られざる女子刑務所ライフ【再掲】

刑務所に入りたい高齢者、NHK『一橋桐子の犯罪日記』はリアル? 12年のムショ生活で見た「介護される」受刑者の姿

2022/10/15 22:00
中野瑠美改め瑠壬(作家)

 「懲役」とは、「所定の作業」を行わせる刑罰で、皆さんのイメージは工場でいろんなもの(刑務作業品ですね)を作ったりする感じかと思いますが、ほかにも施設内の清掃、受刑者や刑務官の食事の用意、差し入れされてくる図書の整理なんかも「作業」となります。

 そして、障碍者や高齢の受刑者の介護というのもあります。これは誰にでもできるわけではなくて、受刑者の作業としては格上なんですよ。ホリエモンこと堀江貴文さんや鈴木宗男さんもムショでは介護をしたはったそうです。元国会議員の山本譲司さんが書かれた本『獄窓記』(新潮社)には、刑務所内での介護の体験をシモの世話のことまで生々しく描かれていると編集者さんから聞きました。

刑務所でバブルの女帝”尾上縫さんを介護した思い出

 そして、もちろん私も担当しましたよ、介護(ちょっと自慢)。若い人はご存じないでしょうが、大阪・ミナミにあった料亭「恵川」のおかみさんだった尾上縫(おのうえ・ぬい)さんの介護を長く担当していました。

 80年代不動産バブルも今は昔となりましたが、当時の尾上さんは料亭や雀荘の経営の傍ら株で稼ぎ、「北浜の天才相場師」と言われてました。占いで株の値動きを予想して、「NTT株が上がるぞよー!」というとホンマに上がったとかで、銀行関係者など「信者」もたくさんおられたそうです。

 もちろんバブル崩壊で大損されるわけですが、銀行を騙したとして、まさかの「巨額詐欺事件」に発展します。銀行からの借り入れは約2兆8000億円だったそうですが、フツー料亭のおかみさんに、そんなに貸しますかねえ。縫さんもよくはないけど、やっぱり銀行が悪いと思いますよ。

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