コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

なぜ黒沢かずこは、明石家さんまの老後をやたらと心配するのか? 彼女が気づいていない本心

2022/10/13 21:00
仁科友里(ライター)

 心理学の世界に「投影」という概念がある。自分の抑圧された感情を他人のものとすり替えてしまう防衛機制を指す。例えば、妻の浮気を疑って、あまり外出させない、携帯をチェックするなどの行動を取る夫がいるとする。「それだけ執着するのは、よっぽど妻のことを愛しているからだろう」と見る人もいると思うが、実は自分が強い浮気願望を持っていることに気づかず、「妻が浮気したがっている」と話をすり替えてしまうのだ。

 この投影理論に黒沢サンを当てはめて考えてみると、黒沢サンが誰かを「心配している」と言うのは、相手も不安を抱えているという前提からなのだろうが、これはつまり、自分自身が抱える不安を相手に投影しているのではないか。つまり黒沢サンは、さんまの老後を心配しているわけではなく、自分の老後を心配しているように思う。

 『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)で、黒沢サンは「一人が苦手だけど、結局一人になっちゃう。一人っ子だし、パートナーもできたことがない。だから、みなさんは究極の一人を知らない」と話していた。

 一人でいることはまったく問題ないし、テレビで自分の心にもない発言をするのもアリだと思うが、自分の本心に気づかないままでいると、メンタルヘルスを損ねる可能性がある。どうか自分の心に向き合う時間を作ってほしいと願わずにいられない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2022/10/13 21:00
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