ジャニーズJr.「22歳定年制度」――経営のプロに聞く「滝沢秀明氏が反感を買わない」ためのヒント
――Snow Manには27歳でデビューしたメンバーが3人もいます。そう考えると、22歳で見切ってしまうのは時期尚早とも感じるのですが……。
大関 下積みを続けることで花開くと期待されたJr.は、事務所側も活動継続させると思いますよ。ただ不安があるとすれば、今の事務所に「見る目がある人はいるのか?」という点です。ジャニー喜多川前社長は存命中、Jr.の育成を担い、デビュー決定権を握っていたそうですが、「この子はこうした売り方をすれば化ける」といった“天才的なひらめき”を持っていたのでしょう。そんな天才的なひらめきを持った人物が、本当に事務所にいるのか? というのは気になるところ。そもそもジャニー氏のような見る目のある人物がいれば、「22歳定年制度」を設けなくてもよかったのかもしれません。
――確かにジャニー氏の存命中は、こうした定年制度の話は聞いたことがありませんでした。
大関 ジャニー氏の場合、22歳を待たずしても、直感的に「才能がない」と判断したJr.を見切ることはあったのではないでしょうか。やはりジャニー氏を失った今、ジャニーズは経営の仕方を変えざるを得なくなったのだと思います。
――「22歳定年制度」を運用する際に、滝沢氏が気をつけるべきことはありますか?
大関 あまりドラスティックにやりすぎないということです。カリスマトップからバトンを受け継いだ2代目が急激な変革を行うと、社員が反発心を抱きやすく、造反や離脱につながって、会社自体がおかしくなることは珍しくありません。例えば、滝沢氏が来年3月、一気に大量のJr.をクビした場合、ほかのJr.が戦々恐々とし、事務所内の空気や居心地の悪さが一気に高まり、「もうやってらんないよ」となってしまう可能性がある。そうならないために、基本は時間をかけながら、徐々に進めていくことが大事です。
――来年3月の本格実施を前に準備期間を設けたのは、制度の運用をしくじらないために必要なことだったんですね。
大関 Jr.とコミュニケーションを密に取ることも重要です。23年3月末から開始とアナウンスされているものの、突然何人かのJr.を呼び出して面談を行い、そこで「活動終了」を宣告すると、当人たちの反感を買ってしまう。退所者から現役のJr.に対し、事務所の悪い情報が吹き込まれ、不協和音が生じる可能性もあります。なので、最終的な引導を渡す前に、何度も面談を行って「ここを改善しないと、先々難しいよ」と指導をしながら、会社の意思を伝えていく。そうすることでJr.側に改善が見られれば、「活動を継続させて様子見よう」となるかもしれませんし。