コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

『上田と女が吠える夜』たんぽぽ・川村エミコの自虐ネタに考える、「運のいい/悪い」を決めるもの

2022/08/11 21:00
仁科友里(ライター)

 『上田と女が吠える夜』にゲスト出演していたいとうあさこも、川村サンについて「一緒にロケに行っても、みんな(衣装)が長袖のTシャツなのに、エミコだけ半袖」「みんながはく、ももひきみたいなのがあるんだけど、エミコのだけ入ってない」など、彼女の「ちょっとした運の悪さ」を指摘していた。

 しかし、これは本当に運の問題なのだろうか。みなさんがテレビの制作者となり、出演するタレントに衣装を用意すると想像してみてほしい。その際に、絶対にミスをしないように心がけるのは、キレやすい人とキレない人のどちらだろうか。おそらく、ほとんどの人がキレやすい人に対して万全の体制で臨むはずだ。

 仕事とはいえ、川村サンのように「運の悪さ」を面白おかしく喧伝すると、周囲に「運が悪い自分を受け入れている」と受け止められ、「運が悪い人として扱ってよい」と間違ったメッセージとなることがある。川村サンがそこでキレるタイプでないため、「ミスしてもあいつなら大丈夫」と結果的に軽んじられていく可能性はあるだろう。このようにして、運が悪いネタが増えると、ますます「自分は運が悪い」という思い込みは強くなっていくわけだ。

 「自分は運が悪い」と思い込んでしまうと、「きっとうまくいかない」と不安になってミスを誘発し、さらには周りからも軽んじられ、その結果、どんどん自分に自信がなくなるので、注意が必要といえるだろう。川村サンは「運が悪い話」を仕事に生かしているからいいと思うが、一般の方は過度の思い込みに注意していただきたいものだ。



仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2022/08/11 21:00
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