『上田と女が吠える夜』たんぽぽ・川村エミコの自虐ネタに考える、「運のいい/悪い」を決めるもの
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今週の有名人>
「不幸にチャンネルが合っちゃってるよ~」たんぽぽ・川村エミコ
『上田と女が吠える夜』(8月3日、日本テレビ系)
『M-1グランプリ2019』(テレビ朝日系)で、ぺこぱがボケを全肯定する漫才で話題を呼んで以来、「人を傷つけない笑い」が尊ばれるようになり、テレビにおける自虐ネタの需要はどんどん高くなっている。ただし、その自虐が「モテない」とか「もうオバチャン」というようなものだと、聞き手が「そんなことないよ」と言わなくてはいけないので厄介だし、同調すると、それはそれでセクハラめいてくるので、そうした自虐はネタとして好ましくないだろう。やはり他人を巻き込まない、自己完結した自虐ネタがベストだと思う。
8月3日放送の『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)のテーマは、「どうして私がこんな目に? とことんツイていない女たち」で、ゲストそれぞれが、自分の経験した“アンラッキー”を明かしていた。
例えば、プロフィギュアスケーターの村上佳菜子は現役時代、大会の最中に顔にハエが止まったとか、『南国少年パプワくん』(エニックス)の漫画家・柴田亜美は、ざくろを食べたところ毒が回って動けなくなったとか、他人を巻き込まず、人を傷つけない、ちょっとしたアンラッキーエピソードを次々と披露した。
たんぽぽ・川村エミコもゲストの1人だが、司会のくりぃむしちゅー・上田晋也いわく「スタッフが川村サンと打ち合わせしていたら、まぁ、不幸の宝庫」だったという。具体例を挙げると、小学生の頃、クラスで飼っていたメダカ殺しの罪を着せられたことに始まり、大人になり、芸人の下積み時代に前説をしていたところ、高級すしをスタッフに「食べていい」と言われたから食べたのに、別のスタッフに「なに食ってんだ」と怒られたそうだ。
このほかにも、オーディションを受けようと思った3日前にコンビを解散するなど、アンラッキーは続く。売れっ子となった今も、勝手に美容クリニックの広告で「ブルドッグ顔の代表」として顔写真を使われる、スーパーの入り口につながれた犬が通りがかったおじさんに吠えた際、川村サンの飼い犬と勘違いされたらしく「静かにさせろ」と怒られた、新宿アルタ前で変なおじさんに「お前に選択肢はないんだ」と怒鳴られるなど、ネタが尽きない。
また今年、スパムメールに引っかかった川村サンは、クレジットカード被害に遭ってしまい、それを友達に話したところ「不幸にチャンネル合っちゃってるよ~、チャンネル変えてこ~」と言われて腹が立ったそうだ。