芸能
『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』暴力を振るい介護施設から出禁に……「ありのままでいいじゃない ~いしいさん家の人々~後編」 

2022/08/08 18:44
石徹白未亜(ライター)

 いしいさん家は代表・石井の信念に基づいて設立され、また石井自身が率先して働いている状況だ。それゆえ、ほかの職員が何か思いや不満があっても自然と「言わせない」雰囲気が出来上がっていたのだと思う。

 いしいさん家を辞めた福田は、石井について「最終的には石井さんの考えに基づいている。一切誰にも手を出させない、自分のやり方を貫く」「職員がどれだけの疲弊と工夫をして、それを石井さんは『わかっている』と言うけど……」と胸中を話していた。

 結局は、自分のしたいようにしたい石井は、典型的なワンマン経営者に見えた。事業を軌道に乗せていくようなときは、ワンマンならではのパワフルさが必要なようにも思う。信念もパワーもない人は、そもそも経営者の器ではないだろう。

 人を率いる立場で成功している人には「他人の意見なんて聞かない」という、ワンマン的な、我の強さを感じさせる人が少なからずいて、石井もそのタイプに見えた。ただワンマン経営者は、順調なときはいいが、逆風には弱いのではないか。ワンマンゆえに、経営者自身が「逆風だ」と感じたとき、組織はピンチに陥ってしまうように思う。

 今回、石井はスタッフが5人離脱する大逆風を経験し、周りの声に耳を傾けるようになったかに見えた。ところが、まさかのヤマピー再受け入れを自分の意思で通しており、いしいさん家は良くも悪くも、 やはり石井の影響が非常に強い組織に見えた。

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