コラム
女のための有名人深読み週報

漫画家・東村アキコ、お笑いプロ社長のいま――売れない芸人を養分にする“スター”の特性

2022/07/28 21:00
仁科友里(ライター)

 東村センセイは「夢を追うのは自由だし、夢を追うことが人生そのものの人って、いっぱいいるじゃないですか。結果が出なくても。ハハハッ」と笑った後で、「1人だけでも、1%だけでも、もしかして売れる可能性がね、あるんだったら、この劇場を作った甲斐がある」と芸人に奮起を促し、その後で「私の本音だけど、この劇場で赤字を作っているからこそ、漫画で頑張ろうと思って、漫画を頑張って描き続ける良さもある」とお笑い事業が自分のモチベーションアップにつながっていることを明かした。

 頂点を極めてしまうと、どうしてもハングリー精神というか、ガッツがなくなる。だからこそ、あえて採算が取れないことがわかっているお笑い事業に金をつぎ込むというのは、恐れ入る。そして、東村センセイのような人は売れない芸人を見て、そこからインスピレーションを得て、新たな代表作を描き上げるのではないだろうか。

 寂聴さんが、自身の恋愛を小説にして、いつの間にか小説家の男性を凌ぐ大作家になってしまったのと同じように、東村センセイも売れない人をネタもしくは養分にして、大輪の花を咲かせるような気がする。それがスターになる人の特性なのかもしれない。

 マツコとの掛け合いも面白かったし、東村センセイはかなりテレビ向きな気がする。最近のテレビはどうも毒気が足りなくてつまらないと思っている人も多いはず。手始めに『上田と女が吠える夜』(同)への出演なんていかがでしょう。テレビ業界のみなさま、この逸材を見逃す手はないと叫びたい気持ちでいっぱいだ。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2022/07/28 21:00
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