『ザ・ノンフィクション』舞妓は無給で休日は月2日「泣き虫舞妓物語 2022 ~夢と希望と涙の行方~ 前編」
青春を捧げた花街を20歳そこそこの若さで去ることになった果帆は、最後まで遅刻の理由はわからないと首をかしげていた。番組内では触れられていない事情があるのかもしれないが、そうでないとしたら、「休みは月2日、収入は小遣い程度」の生活がしんどすぎたのではないかと思う。なお、適用の内外はともかく労働基準法で定められた年間休日の最低日数は105日だ(1日8時間労働の場合)。
ただ、芸能の仕事はコンプライアンスの遵守よりも、長年の歴史によって培われた不文律、暗黙のルールのほうが幅を利かすところも大いにあるだろう。花街はコンプライアンスやブラック企業という言葉が日本で認知される前から、さらに言えば労働基準法が施行される前から存在していた世界であり、その過酷な労働環境の中で芸を磨き、継承してきた舞妓や芸妓たちが大勢いたのだと思う。
しかし、現役の舞妓にしてみたら、身近な姉世代の芸妓のとる行動や判断のほうが身に迫るのだろう。姉世代の芸妓たちが、どんどん離職していく状況を目の当たりにしたら、不安になるのも無理はないように思う。
「休みは月2日、収入は小遣い程度」という1点だけでも異次元の過酷さだ。今はスマホを見ればSNSで同級生たちの自由気ままな生活が目に入ってしまう。
舞妓、芸妓の厳しい労働環境を「これが花街の掟どす」と貫くのも選択肢の一つだと思うが、番組を見る限り、舞妓や若手の芸妓の離職状況は深刻そうだ。業界の未来は大丈夫だろうか。
『ザ・ノンフィクション』疲れ切ってしまうと、辞める判断も難しい
番組内では、中学時代の果帆が部活に励む姿も伝えられていた。ポニーテールを結び、はつらつとした雰囲気だったが、花街を去るまだ20歳か21歳の果帆は、かなり疲れた様子に見えた。
先週の『ザ・ノンフィクション』も、人力車の仕事を辞めるまで長い時間を要したアツシが出てきたが、果帆もここまで疲れ切る前に辞めたほうがよかったようにも思える。本当に疲れ切ってしまうと、「休む」「いったん離れる」「辞める」といった選択肢を取ることすら難しくなってしまうのかもしれない。
来週は今週の続編。果帆同様に遅刻が目立ち、練習にも身が入らない寿仁葉は、そして女将はどんな決断を下すのか。