「ムショにいる間は出たくて、出るとムショに戻りたくなる」元女囚が考える、立てこもり犯の心理
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
田中聖の“削除すべき”動画
先日の立てこもり犯について書こうと思っていたのに、田中聖さんが控訴されたんですね。覚醒剤所持の現行犯でサイタイ(再逮捕)されたのに、なんで控訴? まあ時間稼ぎですよね。実刑は確実と思いますけどね。
ところで、読者の皆様は覚醒剤中毒者とかクスリ(違法薬物)がキマっている(効いている)人を見たことありますか? 日本は一生のうちにクスリをやったことがある人(生涯経験率)の割合は0.5%と「奇跡」といわれるほど低いそうで、アメリカは10倍近い4.9%、英国は20倍の10.3%やそうです。ちなみにイギリスは、もともとアルコールよりクスリにハマる人が多いそうです……と編集者さんから教えてもらいました。
懲役太郎さんほかの元不良や警察情報ですと、田中さんのこのビデオは「絶対にキマっている状態で撮った!」そうなので、参考までにちょっと見てみてください。懲役太郎さんは「逮捕直後に削除するかと思ったら、ずっと削除されていない」ことを「ソッコー削除すべき」と指摘されてました。もう遅いですよね。
刑務所の更生プログラムは意味がない
さて、本題の立てこもり事件です。埼玉・川越のネットカフェで5時間くらい立てこもって逮捕される事件がありました。
女性店員さんは命に別状はないけどケガをさせられたそうで、ほんまにお気の毒です。
しかも犯人はパクられ(逮捕され)て連行される時にピースサインを出してますし、単なるイチビリ(目立ちたがり屋)にしてはタチが悪いです。ニュースを見たら、逮捕された長久保浩二容疑者は、10年前にも愛知県で立てこもり事件を起こして、懲役9年を打たれた(の判決を受けた)そうですが、その前から窃盗や詐欺事件でムショを出たり入ったりしてるんですね。
今回も満期出所で今年の4月に出てきて、建設関係の仕事をしながらネットカフェに寝泊まりしていたようです。つまり出所して2カ月で、またムショに逆戻り……。
もうこうなっちゃうと、またやるでしょうね。前回の立てこもり事件では、記者さんたちの取材にマジに答えてて、
「刑務所が実施している教育は正直、形だけなので、あまり意味があると思いません」
「私の原動力、それは、国への不信と不満、これに尽きます。純粋に国の将来を考えての行動なのに、自暴自棄と言われるのは心外なんです」
とか手紙に書いてるんですね。
この犯人をかばうわけではないんですが、たしかに更生プログラムは意味ないと思いますし、7年以上の長期刑の人には、出所の半年くらい前から社会の仕組みを教えてほしいです。出てきたら、社会が激変してますから。