コラム
私は元闇金おばさん
「闇金」新入社員が見た、夜逃げ社長のその後――ヤクザ登場で「自宅と工場占有」の現場
2022/07/09 16:00
私の担当は、営業事務と経理補助。掃除やお茶出しなどの日常業務はもちろん、不動産謄本や信用情報の定期閲覧、印鑑証明の期日管理などが主たる仕事です。見たことのないものばかりで、初めこそ少し不安に思っていましたが、慣れてしまえば簡単なことでした。
いい機会だからと、愛子さんに情報端末の操作方法を教わりながら、M自動車の社長の名前と生年月日を入力して、信用情報を取得してみます。排出されたレシートの上部には、住所、氏名、生年月日、電話番号、勤務先、勤務先電話番号などの情報が明記されており、その下には多くの数字が羅列されていました。
レシートの長さは、与信審査の回数や借入件数の多さに比例し、短いほど信用のある人だと判断されるそうですが、M自動車の社長の信用情報は、素人の私が見ても多重債務者とわかるほど長いレシートで提供されます。
「やっぱりたくさん申し込んでいるわね。ここ数日の信用照会(新規申込や追貸の問い合わせ)を見ると、7件もの業者に新規で申込みして、そのうち1件が実際に貸し付けしてる。これによると保証人も同じ人をつけているようね」
「そんなことまでわかるんですか?」
「これ、全部番号で書いてあるから、何がなんだかわからないでしょ? でもね、見方を覚えてしまえば、いろいろと見えてくるものなのよ」