コラム
【連載】わが子から引き離された母たち

あびる優が告発、才賀紀左衛門の「子ども連れ去り」はレアケースではない――元夫を罪に問えず「わが子から引き離された母たち」

2022/07/21 19:00
西牟田靖

――彼が何をしたいのか、わからなくなってきました。

 4月、彼は行動を起こしました。別居をやめて戻ってきて、私と子どもたちの仲を引き裂く工作を始めたんです。まだ母がいるときに。そして私がいないときに、いろいろと私の悪口を言って、子どもたちが私を嫌いになるようにしていたんです。

――片親疎外(PAS)ですね。でも、子どもたちと一緒に住んでいるなら、効果が薄いのでは?

 そうでもなかった。毎日毎日、私の悪口を言われ続けると、子どもたち、信じるようになった。親子関係は良好だと思っていたので、気がついたときはショックだった。

――いつ気がついたんですか?

 毎年8月、子どもたちを連れてオーストラリアに行っていたんですが、その年、出発の1カ月ほど前に息子にこう言われました。「マミーに連れ去られるから行けない。パパが裁判を起こしたら2年かかる。そうすると私たちはパパに2年間会えなくなる」って。

――それはショックですね。

 そのとき、私は「連れ去り」とは何かを知りませんでした。まだ8歳の息子がなぜそんな言葉を知っているのかなと思い、「連れ去りって何?」と聞いたんです。すると息子は「わからない」って。そばにいた娘は、やりとりを見て、「まずい」という表情をしました。2人に彼が「連れ去り」の話をしたのだと思います。

――ひどいですね。

 当時、父がアルツハイマーにかかっていて心配だった。だから、子どもたちをオーストラリアに連れていって、顔を見せたかった。でも、子どもたちは彼の言葉を信じてしまって、一緒に帰ってくれなかった。悲しかった。でもどうしようもない。だから、私ひとりで、2週間ほどオーストラリアに帰りました。

――引き離すことに彼は必死ですね。

 そうなの。もしオーストラリアで同じようなことをすれば、彼が親権を失います。別れても、共同で責任をもって養育するのが当然だから。もし相手の合意を得ずに子どもを連れていったら、実子誘拐として罰せられます。

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