『仰天ニュース』“感動ストーリー”に「美談にするな」! 大阪カニ看板破壊事件の再現VTRが波紋
6月28日放送の『ザ!世界仰天ニュース4時間SP』(日本テレビ系、以下『仰天ニュース』)でオンエアされた、ある事件の再現VTRが波紋を呼んでいる。
昨年4月、大阪・道頓堀の飲食店の店先に置かれていたカニのオブジェが、20代の男性2人によって壊されるという悪質な行為が発覚。
街の防犯カメラに映っていたのは、まず1人がオブジェに蹴りを入れ、その姿をもう1人の男性がスマートフォンで撮影するといった犯行の一部始終で、蹴りを入れた男がオブジェを手前に引き倒し、カニは無残に砕け散った。壊れたことを確認した2人組は、その場から一目散に逃走。その映像は、報道番組で流れることになったが、男たちの顔はモザイクで隠されていた。
今回、『仰天ニュース』で、この事件の結末が紹介された。すでに後日談はさまざまな媒体で報じられているが、再現VTRとしてオンエアしたのは初めてだろう。番組では、「感動のストーリー」として映像化していた。
「再現VTRでは、犯行の様子をとらえた映像をニュース番組で偶然目にした当時23歳の若者が『やっべえ!』と大慌て。3歳下の後輩にすぐさま電話し、家に来てもらうことに。ネットでも犯行動画がアップされると大炎上となり、警察が器物損壊罪で捜査していることを知った2人は、警察に出頭する前に、店に直接謝罪へ行きました。そして、オーナーの前で土下座の謝罪。すると、何とオーナーは警察への被害届を取り下げ、2人に修繕費の捻出と、この出来事を親に報告することを約束させた上で許す……という内容でした」(芸能ライター)
ちなみに、若者2人が犯行に至った“理由”について、番組では「バイトをクビになり、ムシャクシャした気持ちをカニの看板にぶつけてしまった」と語られていた。
さらにこの後、彼らはオーナーからキリスト教の礼拝に誘われ、教会に顔を出すようになったという。さらに、店のバイト人数を削ったことで、320人のツアー客を受け入れられないとオーナーから聞いた2人は、友達のツテを使って、21名の働き手を確保。無事、店は団体客を受け入れることができたという。
「オーナーである社長は番組の取材に応じ、『彼ら自身も生まれ変わったし、僕も生まれ変わった』とコメント。当時20歳の青年もインタビューを受け、『あの時は本当に人生終わったなという気持ちで、許してもらったんで、その恩返しをしたい』と話していましたが、声は変えられて、顔にはモザイクがかかっていました」(同)
今回、“感動ストーリー”と番組はうたっていたが、オーナーが被害届を取り下げずに逮捕されていたら、彼らは立派な犯罪者だ。視聴者からは「犯罪を美談にするなよ」「防犯カメラの映像がテレビで流れなかったら知らんぷりだったんだろ」「美談にするなら本人の顔を出してほしい」「これを感動秘話! って流す感覚が怖い」などと疑問の声が噴出。
昨今、過去に放送した映像の再利用や視聴者からエピソードを募集するなど、ネタ切れ感が隠せない『仰天ニュース』。多くの視聴者が疑問を覚えた後日談を「感動ストーリー」仕立ててで取り上げなければならないほど、制作状況は切迫しているのだろうか。
(村上春虎)