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『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』お父さんみたいにならないで、という母親の呪い「都会を捨てた若者たち 前編 ~27歳の迷い道~」

2022/06/21 11:16
石徹白未亜(ライター)

大地「作業着を着て帰ってくる父親(大地の父親は大型シャッターの職人)が嫌だった。『スーツを着ている人が会社員』っていうイメージがあった。そっちの人のほうがカッコいいとずっと思っていて、母親にも『ああいう現場仕事じゃなくてホワイトカラーでいてね』って言われていた。『大学にも行かせるから一流のいい会社に入れ』って」

大地父「お母さんそんなふうなの? マジか」

 その後、大地は会社員時代に現場実習で職人の姿を見ることがあり、現場仕事をカッコイイと思うようになったと話した後、照れくさかったのか席を立つ。この発言は番組中の大地の言動の中で一番実感がこもっていたように聞こえた。

 大地は自分でもよくわかっていない「やりたいこと」を探すよりも、自分がすでに実感として持っている仕事観をベースに仕事を探したほうがいいのではないだろうか。

『ザ・ノンフィクション』「お父さんみたいにはならないでね」という母親の呪い

 先の大地の発言から、大地の母は、大地に「お父さんみたいにはならないでね」と言葉をかけていたわけだが、これは子どもにとってかなりの呪いだと思う。こう発言するに至ったまでの「母の言い分」も当然あるだろうが、それは夫婦で話し合うことであり、子どもに言うことではない。

 「お父さんみたいにはならないでね」という母の発言は単独だけでもかなりのインパクトだが、大地の家の場合、父は大地に仕事を継いでほしいのだ。大地は「俺みたいになってほしい」と「お父さんみたいにならないで」の板挟み状態にある。

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