海外
鎮痛剤に依存性がある恐怖

死者50万人、アメリカにまん延する鎮痛剤中毒――オピオイド依存に苦しんだセレブ5人

2022/06/10 20:23
堀川樹里(ライター)

繰り返された美容整形の末に……写真左、ジェイミー・リー・カーティス(写真/Getty Imagesより)


 アクションもこなせる“かっこいい女優”として活躍していたジェイミーは、80年代に定期的に受けていた美容整形手術後の鎮痛剤として処方された、麻薬性鎮痛薬バイコディンに依存してしまったと告白している。

 「目の下の脂肪を取り除く手術」「脂肪吸引やボトックス」など手術自体はシンプルなものだったが、激痛を伴ったため、痛み止めとしてバイコディンを処方されたのだ。彼女は処方薬でも依存性があるという知識がなかったため、警戒することなく、出されるがまま服用し続けた。



 「仕事中は服用しなかったし、普段も、朝の10時から夕方の5時までは(痛みがあっても)薬を飲まなかった」と服薬には慎重だったそうだが、体は薬を求めるようになり、彼女は10年間薬を飲み続けた。

 量が足りなくなり、姉に処方された鎮痛剤にまで手を出すようになってしまった。罪悪感から姉に打ち明けたところ、「あなたは依存症。このままあなたが死んでいくのを見たくはない」と諭され、リハビリ治療を受けることを決意したという。



 ジェイミーの父親で俳優のトニー・カーティスも長年薬物依存症に苦しみ、ジェイミーは若い頃、父親から薬物を入手。一緒にコカインをやったこともあるという異常な環境の中育った。異母弟ニコラスもヘロインの過剰摂取で亡くしており、遺伝的に依存しやすい体質だったのかもしれないといわれている。



 バイコディンの断薬に成功したジェイミーは、飲酒もやめた。今でもホテルに滞在する際には事前に部屋のミニバーからアルコール類を片付けてもらうようリクエストするという。「世代に渡り一族の命を破壊した悪式(依存症という)サークルをぶち壊したの」「断薬・断酒は、私が達成した事柄の中で、最も素晴らしいことだと思っている。夫や子どもたち、どの作品や成功・失敗よりも大きなことだと思っているわ」と、ジェイミーは胸を張っている。



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