コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

沈黙と笑顔を巧みに使い分ける「恐るべし秋篠宮」――インタビュー録『秋篠宮』に見る混迷

2022/06/18 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます! 

波紋が広がる『秋篠宮』の真意は……?(C)サイゾーウーマン

――今回からは、5月に発売された話題の書『秋篠宮』(小学館)を、堀江さんと分析していきたいと思います。著者は秋篠宮さまと長年親交を持っているジャーナリストの江森敬治さん。本作は、眞子さまの結婚問題などで揺れた時期の秋篠宮さまに、江森さんが5年密着、37回もの取材を経て書かれたそうです。

堀江宏樹氏(以下、堀江) そのわりには情報が薄いのが気になりました。この本の最大のセールスポイントは、日本中を巻き込んでしまった眞子さまと小室さんの結婚問題を、秋篠宮さまがいかに捉え、行動したのかを、宮さまご自身の言葉で明らかにするという点だったはず。小学館の公式サイトにも「人間・秋篠宮の心奥に迫る唯一無二のインタビュー録」「平成から令和の代替わりに臨み、長女の結婚問題に揺れた」といった言葉があります。

 天皇陛下に近い弟宮が、こうしたメッセージを発するのはきわめて異例で、いわば宮さまの“禁断の肉声”が聞ける……と、読者は期待したのでしょう。

 しかしふたを開けると、眞子さんの結婚問題については週刊誌やネットに漏れていた情報と、ほとんど変わりない内容でしかなかった。Amazonなどのレビューが荒れ狂っていますが、その理由は、このあたりにあると思われます。

――天皇陛下が『秋篠宮』に不快感を示された、という報道がニュースサイト「デイリー新潮」に出ましたが。

堀江 「デイリー新潮」の記事によると、国民に公正・公平たるべき皇族……それも、秋篠宮さまはいまや皇位継承権第一位の重い立場なのに、江森さんという一人のジャーナリストを優遇した部分を、陛下は問題視なさったとされています。

――マスコミに批判的な姿勢をとっていながら、マスコミの手を借りたことも問題視されているようです。

堀江 それについては、秋篠宮さまはご自分のお考えを、一人のジャーナリストを通して世間に公表することで、すこしでも客観性を獲得できるのではないか……と狙っていたのかな、とも思いますよ。そういうことより私が気になったのは、宮さまの堂々たる曖昧さですね。

――堂々なのに、曖昧なんですか? 矛盾しているような。

堀江 本書を一読すれば、納得していただけると思います。眞子さまと小室さんの結婚問題に対し、日本中で巻きおこったネガティブな反応に対し、どう思うか尋ねられても、秋篠宮さまは謎めいた態度を取りつづけ、江森さんもそれに翻弄されてしまっているんですね。

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