相葉雅紀が読んだ『錦繍』は、嵐のいまと重なる!? 「別れと再会」の物語を味わう
――アイドル好きのブックライター・保田と編集部員・B子が、タレントたちの“愛読書”を片手に、人となりを妄想中!? 「サイジョの本棚」前で、おしゃべりが始まります!
◎ブックライター・保田 アラフォーのライター。「サイジョの本棚」担当で、一度本屋に入ったら数時間は出てこない。海外文学からマンガまで読む雑食派。趣味(アイドルオタク)にも本気。
◎編集部員・B子 猫と暮らすアラサー。芥川賞、直木賞、本屋大賞あたりを一通りチェックしたい、ミーハーな本好き。最近はノンフィクションばかり読んでいる。趣味(ジャニーズオタク)にも本気。
嵐・相葉雅紀が読んだ1冊:『錦繍』
編集・B子 この前、嵐・相葉雅紀がラジオ『嵐・相葉雅紀のレコメン!アラシリミックス』(文化放送)で、『錦繍』(新潮社/著: 宮本輝)を読んだって言ってたの。私は聞いたことない作品だったんだけど、保田さんは読んだことある?
ライター・保田 うわあ、懐かしい作品! 芥川賞受賞作家・宮本輝の人気作品の一つだし、もちろん読了済みだよ。書簡(手紙)形式で進んでいくから読みやすいと思うけど、もう40年も前に発売された本を手に取るなんて、ちょっと不思議。相葉さんって読書家なの?
編集・B子 それが、相葉ちゃんは嵐の活動休止後に小説を読み始めたらしく、読書にハマったのはここ2〜3年の話みたいよ。ちなみに、今までラジオなんかで「読んだ」と明かしていた本は、宮部みゆきの『模倣犯』(小学館)、奥田英朗の『最悪』(講談社)といった、過去の名作が多い。
ライター・保田 「今話題の本」じゃなくて、「読書好きの定番本」から読み始めてるんだね。まずは基礎から固めていくみたいな、相葉さんの真面目さを感じるよ。
編集・B子 相葉ちゃんの冠番組『相葉マナブ』(テレビ朝日系)を見てると、料理やものづくりに一生懸命取り組む姿が印象的で、まさに“真面目な好青年”。本のチョイスにも、性格が表れるもんだね〜。それで、『錦繍』ってどんな話なの?
※以下、『錦繍』の結末についての言及があります。
ライター・保田 とある事件をきっかけに離婚して音信不通だった元夫婦が、偶然の再会をきっかけに手紙をやりとりする話。前夫・有馬の住所を探し当てた女性・亜紀の手紙から始まって、過去に有馬が起こした事件、そこからの唐突な別れ、お互いの心境の変化を手紙につづり合っていくの。
編集・B子 なるほど、「別れと再会」の話なんだ。そういえば、嵐活動休止前の2019年、『24時間テレビ42』(日本テレビ系)の中で相葉ちゃんがメンバーに手紙を朗読するシーンがあったのよ。20年間の活動を振り返りながら、嵐のメンバーを「最愛のパートナーです」と言ってて、すごく感動したんだよね。活休後に『錦繍』を読んだって知ったら、作品のストーリーと嵐を重ねちゃう。
ライター・保田 手紙を出した亜紀は、もう別の男性と結婚しているんだけど、有馬との別れをうまく消化できてないんだよね。最初は「お返事をいただくためにお出しする手紙ではありません」とか書きながら、次にはもう「主人は今月の末から三カ月間の予定でアメリカにまいります」って書いて、さりげなく有馬と会う隙を見せていたり、未練があるのかなって私は解釈した。
編集・B子 おお、なんか急に昼ドラっぽくなった(笑)。で、2人の関係はどうなるの?
ライター・保田 相手の未練や罪悪感をしっかり乗り超えて、それぞれ新たな人生の目的を持ち、お互いの幸せを願いながら別々の道を歩んでいくの。
編集・B子 ウッ、その結末は嵐と重ねたくないぞ……。
ライター・保田 でも、離れていても2人がお互いを思い合っている姿は、いまの嵐メンバーのようじゃない? きっと相葉さんも『錦繍』を読みながら、メンバーを思い出したはずだよ。
編集・B子 今は5人それぞれの目標や、やりたいことに向かってバラバラに歩んでいるけど、ぜひファンの幸せのために、また同じ道を進んでいってほしいなあ。