暴力団のヒットマン候補たちが偽装脱退? 元極妻が語る「ヤクザ減少の理由」
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
「暴力団員」は30年で4分の1に
今どきは若い人がヤクザの組長になりたがらない……というニュースが目に留まりました。
まあ大間違いというほどではないですが、大組織で安定している少数派を除けば、かなり前から年長者だってムリでしたよ。シノギがきつければ苦労するだけですから。
まあ「暴力団員」が減少しているのは事実ですよね。このニュースには、暴対法施行前の1991年には約9万1,000人いた組員らの数が、去年(2021年)末にはおよそ2万4,100人と約4分の1に減り、組織も5,000団体余りが解散している、とあります。
問題は、この「減った分」の人たちが「元暴力団員」としてきちんと生活できているのか、ということです。以前も書かせていただいていますが、食えなければ半グレや詐欺師集団、窃盗団などの犯罪集団と関わるしかないですよ。
暴力団員減少の理由もいろいろ
最近の報道は、暴対法と暴排条例の「おかげ」で「暴力団員」が減ったみたいな印象ですが、実際には暴排条例の「せい」だと思います。実際に暴対法が施行された92年からしばらくは、特に減っていません。
警察庁の資料(『令和3年における組織犯罪の情勢』)では、暴力団員数を「平成17年以降減少し、令和3年末現在で2万4,100人、このうち暴力団構成員の数は1万2,300人・準構成員等の数は1万1,900人」としています。
下の図のように、むしろジュンコー(準構成員)は05年(平成17年)までは増えていたんですね。
この「準構成員」とは、「暴力団構成員以外の暴力団と関係を有する者であって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為等を行うおそれがあるもの、又は暴力団若しくは暴力団構成員に対し資金、武器等の供給を行うなど暴力団の維持若しくは運営に協力し、若しくは関与するもの」(『令和3年版警察白書』)とされています。
どうやって「暴力団と関係を有する者」と判断するかは微妙なところですが、裁判では「幹部の運転手をしている」「暴力団事務所や関連企業に出入りしている」とかが判断の基準になっています。
さて、なぜ92年の暴対法施行から10年以上もたった05年から減り始めたのでしょうか?
ひとつは前年の04年4月の暴対法改定があるかなと思います。抗争でカタギさんが被害を受けた時には組織のトップがいわゆる「使用者責任」を負い、被害者は損害賠償請求訴訟を起こせるようになりました。
深読みしちゃうと、法改定を受けて親分が「使用者責任」を負わないように、ヒットマン候補たちが偽装脱退を始めた……ということですかね。
また、05年7月には今の六代目山口組・司忍組長が組長を襲名し、8月には山口組から絶縁された中野会が解散届を出しています。
司六代目体制の発足は「組員さん減少」には関係ないでしょうが、中野会関係者が一斉に脱退すると、ちょっと人数的には減った感はしますね。