コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
いじめが原因で中学受験! 人生をガラリと変えた「偏差値40台」の中高一貫校とは
2022/05/08 16:00
当時の美月さんの学年主任の先生はこう証言する。
「入学直後は新しい環境なので、誰でも不安なんですよ。すぐに慣れる子、徐々に慣れる子とそのスピードに違いがあるので、私たちはその子、その子の性格に応じて、適宜、声掛けをしていくことを日課にしています。美月の顔には『私は不安です』って書いてあったので、教員同士「じゃあ、どうやったら美月が笑顔になるか?』って話し合いをしていたことを覚えています」
美月さんは担任の先生に「あの子が私の悪口を言っているような気がする」と打ち明けてくれたので、先生方は慎重に丁寧に「それは事実なの? 想像なの?」ということから、アプローチしていったそうだ。
「中学生は妄想たくましい年代でもあるので、自分勝手に物語を作り上げていくことがあるんです。たとえそれが、自分が望まないストーリーであってもです」
再び不登校寸前だった美月さんの言葉によると、事態が好転し始めたのは、学年主任の先生のこの言葉だったという。
「当時、私は世界中のみんなから嫌われていると思い込んでいましたから、先生に『同級生もみんな、私のこと嫌いなはずです』って言ったんですよ。そしたら、先生が、すっごい優しい笑顔でこう言ってくれたんです。『そう? 私は美月のことが大好きよ!』って……」