コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験で難関中学に落ちた息子が、「超難関」国立大学に合格できた意外な理由

2022/04/24 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 耕平くんの学校には、耕平くんが受験した第1志望校に落ちて入学してきた生徒もたくさんいたそうで、クラスメイト同士で「あの算数の大問3が天下分け目だったな!」という話をして盛り上がったりもしていたようだ。

 耕平くんは現在、超難関とされる国立大学に通っているが、大学受験を成功させたモチベーションを聞いたら、こう答えてくれた。

「今、思えば、中学受験は自分の意思で始めたものではなかったっていうのが大きかったですね。ある日、突然、親父に命令されて『おまえは、この中学に行け!』でしたから(笑)。高校になって、周りも進路を考えだすようになるんですが、その時、友だち同士でこう言い合ったんですよ。『俺ら、大学くらいは(自分で決めた)第1志望に行こうぜ!』って」

 耕平くんの通った中高一貫校は「(大学)受験は団体戦」と捉えている学校で、学校側も挫折を経ての入学者が多いことは重々承知している。

「我々は再生工場でもあるんですよ。そのためにも入学したら親御さんは(子育てから)手を引いてほしい。自分で自分の道を決めたヤツほど強い者はないですから」と、先生が親に子離れを促している学校でもある。

 耕平くんの夢は、将来的にはお父さんの会社を引き継ぎ、自分の専門分野を生かして、さらに事業を大きくしていき、お父さんとともに、いっそうの社会貢献をしていきたいのだそうだ。

鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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最終更新:2022/04/24 16:00
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