嵐・二宮和也の「演技力」を現役演技講師が解説! 『マイファミリー』は良い意味での“典型的な映像芝居”!?
二宮和也にとって、嵐の活動休止後初の主演連続ドラマとなるTBS系日曜劇場『マイファミリー』。放送中の同作で二宮は、誘拐された娘を救うため、妻の未知留(多部未華子)とともに奮闘するゲーム会社社長・鳴沢温人を演じている。
そんな二宮といえば、嵐メンバーの中で唯一、ジャニーズJr.時代に『あぶない放課後』(テレビ朝日系)で連ドラ主演を務めたことで知られており(渋谷すばるとのダブル主演)、その後は映画『硫黄島からの手紙』(2006年)でハリウッドデビューを果たしたほか、映画『母と暮せば』(15年)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。さらに昨年、主演映画『浅田家!』(20年)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞に選出されるなど、ジャニーズきっての演技派として知られている。
あまり努力をうかがわせないことから“天才肌”とも評されてきた二宮だが、その演技にはどんな特徴があるのだろうか。現在、「エイベックス・アーティストアカデミー」のシアター総合コースディレクターとして演技講師も務める演出家で俳優の秋草瑠衣子氏に、4月17日に放送された『マイファミリー』の第2話を見た上で、気になる点を挙げてもらった。
二宮和也、『マイファミリー』の演技は「基本的に無表情」?
二宮さんの演技は、基本的には無表情というか、クールな表情を崩さない印象があります。映像演技においてそれは欠点ではなく、視聴者を物語に引き込む要素の一つになり得ます。
なぜかというと、演技が説明的ではないため、視聴者は自然と想像力をかきたてられるからです。想像力が働くということは、その登場人物の立場にたって感情移入がしやすくなるということ。二宮さんは基本的には無表情なのですが、その分“ここぞ”という時の表情の変化が、よりドラマティックに作用することがあります。たとえそれが些細な変化であっても、視聴者の心を動かす素にもなるため、視聴者は二宮さんの演技が繊細なものに見えてくるのです。
少し具体的に見ていくと、たとえば、メディアを使って犯人に“警察は排除した”とアプローチした後、自宅で犯人からの連絡をじっと待つ妻の未知留から「ないね、犯人から連絡……」と言われるシーン。夫婦になんとなく気まずい空気が漂う中、二宮さんは目線も定まらず、体もそわそわと動いています。派手な演技ではないですか、基本がポーカーフェイスなので、些細な表現だけで夫婦関係の不安定さを上手に表せるのです。
また、奈良橋弁護士(恵俊彰)に協力を仰ぐシーンでは、頭を下げた後の二宮さん表情が絶妙。まだ不安気で、何かにすがるような目をしています。