芸能
【再掲】
タカラヅカいじめ裁判の全貌――宝塚音楽学校「予科生の中でSさんが一番きれい」ネットの書き込みがきっかけに
2022/04/08 19:30
その翌月、Sさんにとって最大のピンチが訪れる。「コンビニでSさんが万引きするところを見た」と同期生が告発したのである。「私はやっていません。防犯ビデオを見てください」と訴えるSさんの声も空しく、一方的に吊るし上げられる形となった。
「私の視界に入るな」「死ねばいいのに」、容赦なく浴びせられる罵声や、Sさんを除いたメーリングリストの作成など、いじめはエスカレート。そんな最中、また不運が訪れる。宝塚劇場でお客さんがなくした財布を、Sさんが偶然拾ってしまうのだ。事態はどんどん悪い方へ……。
数々の疑いをかけられたSさんは、ついに学校側から退学処分を通知されるも、学校を相手取り訴訟を起こす。学校側の幼稚な対応や、学校ぐるみでのいじめの実態が明るみになりながら、裁判は意外な結末を迎える――。
騒動当時、週刊誌が数ページのレポを載せるぐらいで、テレビや新聞は宝塚歌劇団のバックである阪急・阪神という巨大資本を前に萎縮し、大々的な報道をしなかった。
ここまで突っ込んだ本を刊行できるのも、過去にプライバシー侵害で宝塚歌劇団と裁判を繰り広げた鹿砦社くらいかもしれない。だとすれば、『ドキュメント タカラヅカいじめ裁判―乙女の花園の今』は貴重な一冊といえるだろう。結末は是非、皆さんの目で確かめて頂きたい。
(林タモツ)
最終更新:2022/04/08 19:30