【薬剤師監修】春の肩こりや頭痛は「気象病」が原因かも? 五苓散(ごれいさん)ほか漢方活用法
気象病で起こる頭痛などの症状を和らげようとして、市販の痛み止めを飲むことはおすすめできません。痛み止めは、そのときの痛みを緩和する働きはありますが、原因を取り除けるわけではないからです。
漢方医学で気象病は、天気や気圧の変化で体の水分バランスが悪くなることが原因と考えられています。水分バランスを整えることで、頭痛、倦怠感、めまい、むくみなどが改善され、天気や気圧に負けない体質を根本から目指していくのが漢方薬です。
<頭痛などの気象病に悩む方におすすめの漢方薬>
・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
水(すい)の巡りをよくする作用があり、特に、頭痛やめまい、立ちくらみなど、上半身や頭に水が滞った症状を改善してくれます。
体にたまった余分な水分を尿として排出してくれるので、衝き上がった気を鎮め、滞った水分バランスを整えることにより、めまいや立ちくらみ、頭痛などの症状を緩和してくれます。
・五苓散(ごれいさん)
体の各場所に停滞した水分のバランスを整える作用があります。五苓散に含まれる猪苓(ちょれい)や沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)にはむくみを改善する働き、桂皮(けいひ)には血行を促進する役割があります。
全身の水分の偏りの緩和に効果があるので、吐き気や頭痛、むくみなどを改善。水が頭部を圧迫することで起こる症状や、気や血(けつ)の滞りも改善するため、気象病により起こる頭痛やめまい、肩こりなどにも効果が期待できます。
・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
胃腸などの消化器系の水の巡りを整える作用があり、効き目が穏やかなので、胃腸が弱い人に向いています。
半夏(はんげ)には嘔吐を抑える作用、天麻(てんま)にはめまいやふらつきを抑える働きがあります。また、白朮(びゃくじゅつ)や茯苓などの生薬には、消化機能を改善させて気を補ったり、余分な水を排出させる作用も。下肢の冷え、頭痛、めまいなどに効果があります。
頭痛や肩こり、めまいなどは、「水」だけでなく「気」や「血」も関わっているため、それらも考慮しながら漢方薬を選ぶ必要があります。また、めまいがひどい場合には、大きな病気が隠れている可能性もあるので、症状に応じて耳鼻科の受診も考慮しなければなりません。
とはいえ、たくさんの漢方薬から、ご自分にあった漢方薬を見つけるのは大変ですよね。そんなときは、「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。漢方に精通した薬剤師とAIが、あなたに効く漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれます。
4.気象病を予防&改善して、穏やかな春を過ごそう!
気象病の改善には、気圧や気温などで乱れた自律神経を整えることが大切。ストレスをためないこと、適度に運動すること、ゆっくりお風呂に入ることなど、できることから取り入れてみてはいかがでしょうか。どうしてもつらいときには考えこまず、誰かに相談することも大切ですよ。
薬剤師・相田 彩
薬剤師。昭和薬科大学薬学科卒業。総合リハビリテーション病院、精神科専門病院、調剤薬局に勤務するなかで、漢方薬が使用される症例の多さと、体質や症状に適した漢方を使用することの重要性を実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。