サイゾーウーマンコラム認知症の老いゆく親と、どう向き合う?妻を介護する100歳の夫 コラム 老いゆく親とどう向き合う【番外編】 「まだ死ねん」と鼓舞する100歳の夫、「死にたい」と泣く妻と生きる“超老々介護”の日々 2022/03/20 18:00 坂口鈴香(ライター) 老いゆく親と、どう向き合う? 1回目の「おかえりお母さん」で生まれた希望 (C)2022「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」製作委員会 18年。90歳となった文子さんは、前作が公開される2カ月前に脳梗塞で倒れ入院していた。98歳の良則さんは気丈にも「退院後は家に引き取る。働いている間は仕事しなさい」と直子さんに言い渡し、シルバーカーを押し、片道1時間かけて病院に通うのだ。 そして文子さんを介護する体力をつけようと、マシントレーニングにも励む。とはいえ、玄関先で転んでケガをしたり、風邪をひいて体調を壊したり、さすがに高齢による衰えは進んでいる。 それでも「まだ死ねん」と、鼠径ヘルニアの手術も受ける。100歳近くても、手術翌日からリハビリだ。そして退院後はまた文子さんの病院に通う。 ところが、リハビリで一時は歩けるまで回復していた文子さんを、非情にも二度目の脳梗塞が襲う。もはやリハビリによる回復は望めなくなり、療養型病院(※)に移ることになる。転院する日、直子さんと良則さんは、文子さんをいったん自宅に連れて帰る。1回目の「おかえり、お母さん」だ。 ほとんど寝たきりだった文子さんは、自宅に帰れたことを喜び、声を上げて泣く。良則さんは「はよようなって、またここで暮らそうや」と声をかけた。文子さんはまたがんばれるのではないか――。家族に希望が生まれた。 ※文子さんが移った施設は、長期の療養が必要な比較的重度の要介護者のために、介護職員が手厚く配置された介護療養型医療施設のようだった 次のページ 最後の「おかえりお母さん」。100歳の夫の愛妻物語 前のページ123次のページ 楽天 ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえりお母さん 関連記事 母の愚痴、ボケが進んだ父――「いい加減にしてくれよ」と親を叱る一人息子の憂鬱「わが母ながら立派」と思っていたが……同居する弟夫婦は「他人以下」、父の介護に一人で取り組む心情は聞くに聞けない母が自傷行為で「閉鎖病棟に入った」――半年後、退院してから息子が覚えた“大きな違和感”「自傷行為をするようになった母」父が亡くなって12年、積み重なる違和感は「年を取ったから」だと考えていた息子『ザ・ノンフィクション』認知症の妻の老老介護、最期の日々「おかえり お母さん~その後の『ぼけますから、よろしくお願いします。』~」