中学受験、塾選びに失敗して転塾を重ねた親子「ふたを開けたらバイトの子が先生」
“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。
「まん延防止等重点措置の適用期間」という中で実施された今年度の中学受験が終了した。当然ではあるが、結果は悲喜こもごも。特にここ最近は、第1志望に行ける子は3人にひとりとも5人にひとりとも言われるほどの激戦になっているので、「こんなはずでは……」という思いを抱えている親御さんも少なくはない。
秀美さん(仮名)もそのひとりだ。
「我が家は結局、第4志望校に進むことになりました。第4志望校には、あまり思い入れがなく、正直、今もこの結果には納得がいきません」
秀美さんには斗真くん(仮名)というひとり息子がいる。斗真くんは5年生から中学受験の勉強を開始したのだそうだ。
「我が家は中学受験を考えていなかったのですが、斗真が新5年生になった頃から、コロナ禍に突入してしまい、小学校が休校になりました。家は首都圏近郊と言っても、田畑が残る田舎のせいか、都会で聞くようなオンライン授業なんて、夢のまた夢。先生は自作のプリントを郵送してくれましたが、それだけ。いわば、全部が自習って感じで、さすがにこれはどうなの? と思っていました」
心配になった秀美さんがご近所情報を集めたところ、思っている以上に中学受験を考えて塾に通っている子が多いことに気付かされたのだそうだ。
「我が家は共働きなもので、ママ友が少なかったということもあり、同級生の動向も知りませんでした。そしたら、意外なことに受験塾に通っている子が多いってことがわかって、正直、焦りました」
そこで秀美さんは大手進学塾の門を叩いたそうだ。
「私でも名前を知っている塾なので、安心感があったんです。斗真もクラスメイトとそこで会えるということで乗り気だったんですが、これが間違いの始まりでした」
大手進学塾では、生徒のレベルに合わせた授業を展開していることがほとんどなので、斗真くんが通った塾もそのシステムを採用。斗真くんは5クラスある中の最下位クラスからのスタートとなったそうだ。