コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

日テレ『上田と女が吠える夜』に感じた、人を叩きすぎない配慮――若槻千夏の“塩梅”に感嘆したワケ

2022/01/13 21:00
仁科友里(ライター)

 今の時代、「自分の価値は自分で決める」人が増えているとしたら、若槻が昔のノリで「売れてもないのに、何言ってんだ」と突っ込んでしまうと、それをイジメやハラスメント、さらには女叩きだと取る人もいるだろう。しかし、さすが若槻、そんな轍は踏まない。「あなたは事務所が管理するほどの価値があるタレントではない」とは言わずに、「あなたにはDMを管理する能力があるから、自分でやりなさい」という意味で、「それはできるよ、そのくらいはイケるよ」と人を傷つけにくい突っ込みを被せたのだ。

 「傷つきやすい若者」が増えているともいわれるが、傷つきやすい人が増えるほど、世の中には愚痴や悪口がはびこるのではないだろうか。自分が不当に扱われたと思ったら、大きな声で文句を言いたくなるものだからだ。そう考えると、愚痴や悪口はエンタメとしてまだまだイケる。その際に気を付けるべきなのは、時代に合わせた人権感覚を持つことと、タレントが対象を「叩きすぎないこと」なのだろう。

 昨年5月5日放送の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)に出演した若槻は、毒舌は今の時代にそぐわないと分析していたが、本人は古い世代を取り込む昔取った杵柄を捨てず、若い世代にも対応できるようにアップデートされている。視聴率狙いなのか、テレビ局は最近、YouTuberなどの新星をスカウトして番組に出しているが、本当の救世主は、若槻のようなデキるベテラン勢なのだと思う。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2022/01/13 21:07
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