芸能
2021年国内配信ドラマ総括
ドラマ評論家が選出、2021年の隠れた傑作ドラマ『未来世紀SIBUYA』! Netflix・Huluほか配信作を総括
2021/12/31 13:00
Huluで配信された『未来世紀SHIBUYA』も、現代日本の問題をあぶり出す隠れた傑作だった。
本作は、近未来の渋谷を舞台に動画配信サービスで“正義マン”として活動するミツル(金子大地)とカケル(醍醐虎汰朗)が視聴者からの投稿を元にさまざまな事件に挑んでいくSFドラマ。
監督の白石晃士は、映画『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』を筆頭にホラーを得意とする映像作家だが、こうした現場で培った、カメラマンが撮影する映像の隅に怪物や幽霊が映り込む演出を、『未来世紀SHIBUYA』では動画配信者の番組に置き換えることで、SFドラマを紡ぎ出していた。
正義マンの番組はコミカルで笑えるやりとりがダラダラと続くのだが、その背後には、極端な格差社会となり、AIや記憶操作の技術が生活の中に入り込んだ未来の日本が映り込む。この風景は極端な形で誇張されたグロテスクなものだが、数年後の日本で実現してもおかしくない手触りがあり、見事な社会風刺ドラマであった。
(成馬零一)
最終更新:2021/12/31 13:00