コラム
知られざる女子刑務所ライフ133

元女囚が振り返る「2021年薬物&刑務所の大事件」――ムショに行きたい人は「壮絶いじめ」覚悟で!

2021/12/26 16:00
中野瑠美改め瑠壬(作家)
川越少年刑務所 Wikipediaより

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

連載を読んでいただき、ありがとうございます

 あっという間に2021年も終わってしまいますね。皆さんにとって、今年はいかがでしたか?

 瑠美は連載を読んでいただけたことや、Paix²(ぺぺ)のお2人と座談会をさせていただいたことは、とてもうれしかったです。この場を借りて御礼申し上げます。

 コロナのせいでお店がオープンできないのはつらかったですが、いろんな方に励ましていただき、これも感謝です。協力金はいただけても、お客さんやお店の女の子は離れてしまうと、元に戻るのに時間がかかってしまいますから、早く収束してほしいですね。

他人事ではない「母親の薬物中毒」

 思えば2021年も、いろんな事件がありました。

 人気のある芸能人など、いわゆる大物のクスリ(違法薬物)がらみの逮捕はなかったですが、学校の先生や消防士、区議会議員など、世間的に「ちゃんとしてる人」が目立ちました。

 瑠美もなんですけど、好奇心とか「自分だけは中毒者にならない」という根拠のない自信とかから、クスリに手を出して抜けられなくなる人は多いです。特に「ちゃんとしてる人」の場合は、子どもたちに「悪いことをするな」と言えなくなりますから、相当まずいです。

 子どもたちといえば、大津市で8月に18歳の少年が6歳の妹を暴行して死なせて傷害致死容疑で逮捕された事件は、お母さんの薬物中毒とネグレクト(育児放棄)が問題になりました。この事件は他人事やないと思いました。

 私がパクられた(逮捕された)時は、私の親とパートナーがしっかり子どもたちを守ってくれていたので大丈夫でしたが、お母さんの逮捕は小さな子どもには悲劇でしかないです。この少年は9月に少年院送致されたそうで、お母さんは12月に入って麻薬取締法違反(使用)で起訴されましたね。実刑ですかねえ。

 刑務所には、瑠美を含め、逮捕されて子どもと離れて暮らさざるを得なくなった女性がたくさんいてました。本はと言えば自分が悪いんですが、やっぱり子どものことを思うとムショでも涙が出てきましたね。少年院に行った息子が「おかんに会いたい」と言ってくれたのを後から聞いたことも、クスリをやめる理由のひとつになりました。

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