芸能
『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』遺影専門の写真館「笑顔の一枚とあなたの記憶 ~家族へのおくりもの~」

2021/12/06 19:09
石徹白未亜(ライター)

 私はライターで、たまにカメラマンが同行できない案件で写真を任されることもある。そこで思うのが「写真を撮られる」側の難しさだ。

 知人がスマホで撮影した飲み会の写真では良い笑顔の人も、あらたまった場の撮影では、慣れなさから表情が硬くなってしまうケースが本当に多い。能津も貴美子の遺影を撮った際、貴美子の孫に参加してもらうことで硬さを抜いていたが、この「硬さを抜く」が本当に大事なのだと思う。

 本当は、能津が手掛けた多くの遺影写真のように「くつろいだ自然な笑顔」で写るのが最高だと思うし、それを引き出すのがプロカメラマンなのだと思う。

 私自身、スタジオで撮ったプロフィール写真があるが(遺影が必要な際はこれを使おうと思う)、その際、自分が撮影する側で苦労した経験があったために、硬くならないように、あえてものすごく笑ってみた。すると写真では、それがちょうどいい塩梅になっていたのだ。

 こうした撮影経験から、「ちょっと大げさなくらいがちょうどいい」のだと思う。選挙ポスターみたいな、こんなのやりすぎじゃないのか、と不安になるくらいの笑顔が写真だとちょうどよかったりする。

 また、歯を見せない笑顔は何か腹に隠し持った感じや、ツンと取り澄ましたように見えてしまうので、できれば歯は見せて笑ったほうがいいように思う。参考になれば幸いだ。

 次週は「スマホとホームレス ~無料Wi-Fiに集う若者たち~」。都内の公園、生活困窮者のための炊き出し会場に掲げられた看板には「無料Wi-Fi使えます」「スマホ充電できます」という言葉が並び、そこにはスマホを手にした若者たちが集まってくる。スマホは炊き出し場所など、生活に困っている人が支援とつながるための最後の命綱なのだ。現代の貧困の姿を見つめる。

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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いとしろ堂

最終更新:2021/12/06 20:53
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